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米中首脳会談での追加制裁見送りに対する市場の反応は?ドル高株高となるか? 住信SBIネット銀行(三井智映子)
*13:37JST 米中首脳会談での追加制裁見送りに対する市場の反応は?ドル高株高となるか? 住信SBIネット銀行(三井智映子)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター三井智映子の「住信SBIネット銀行の気になるレポート」です。
先週は11月28日の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が講演で政策金利は中立金利を若干下回る水準にあると伝えたことで、市場では米利上げが想定よりも 早く打ち止めになるとの見方が強まっており、景気減速への警戒感が後退、ダウが+617ドル高と大幅上昇しました。
米中首脳会談で貿易交渉が進展するとの期待や、米中が交渉する数カ月間に米国が中国製品に対する新たな関税を遅らせるとの可能性が伝えられたことも買い材料となり、ダウの週間の上げ幅は5.16%、主要3指数ともに一週前の下落を上回る上昇となっています。日経平均も6営業日続伸と先週は上昇し続ける結果に。
そして、12月1日の米トランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談では、米中貿易交渉は継続となり、90日の交渉期限の間は互いに制裁関税の応酬を控えることで合意。来年1月から予定していたアメリカの2000億ドル(約23兆円)分の中国製品に対する関税10%→25%への引き上げも、90日間遅らせることにトランプ大統領が同意した模様です。
ただし、90日以内に合意に達することができなかった場合は、延期された関税引き上げが実施される可能性があるとのことです。関税撤廃など完全解決には至らなかったものの、交渉決裂といった貿易戦争の激化は回避した格好となり、市場はこれを好感しています。
さて、今週のマーケットはどうなるのか?チェックすべきポイントについて住信SBIネット銀行の「ウィークリーレポート」を見てまいりましょう。
レポートでは、まず12月1日の米中首脳会談に言及し、『米国が9月24日に発動した2,000億ドル(10%関税)に対し、来年1月から予定された25%への追加関税の見送り発表、一時的に米中貿易問題の一段の激化は避けられた格好となりました』と考察しています。続けて、『今後90日以内に中国が知的財産権の保護やサイバー上のスパイ行為など、通商問題には直接的に関係しない案件について米中で合意できるかといった点に焦点が移行、通商問題は休戦状態といえそうです』と分析しています。
関税撤廃など完全解決には至らなかったものの、交渉決裂といった貿易戦争の激化は回避した格好となったことを好感し、週明けの日経平均は7営業日続伸となりました。米中首脳会談の影響については、『1日の米中首脳会談の結果が今週、どの程度、金融市場のリスク選好の動きを促す結果となるか注目されます。中国経済のみならず世界経済の減速懸念が一時的にせよ後退し、年末に向けて株式市場が一段高となるなどリスク選好の動きにつながれば今後の株式・債券市場の状況次第ではありますが、ドル/円は年末までに年初来高値(114円55銭)を上抜ける可能性が残ったといえそうです』との見解を示しています。
米債券市場については、『11月30日の米10年債利回りが3.0%割れで取引を終えるなど長期金利が低下しており今回の米中首脳会談の結果を受けた米債券市場の動向も注目されます』と伝えています。
今週の重要イベントについては、『12月18-19日のFOMC、さらには来年のFRBの金融政策の行方を占う上でパウエルFRB議長の上下両院での議会証言、さらには7日に発表される米11月雇用統計での時間給賃金が注目されます』と示唆しています。このほか、『今週6日にはOPEC総会も控えており、下落基調の続いている原油価格に下げ止まりの機運が見られるのか、資源国通貨やNY株式市場への影響も含めて注目されます』と伝えています。
欧州を見てみますと、11月25日に開かれた臨時のEU首脳会議で英国EU離脱の協定案が承認されましたが、英議会での採決という問題もあり、ブレグジットの先行きは不透明です。レポートでは、『12月11日の英議会でのEU離脱協定案を巡る採決を控え、週末に向けて議会の賛成・反対両派の議員をはじめとする要人発言がポンドを上下に大きく振れさせるかもしれません』とのことで、『12月1日時点では与党保守党内で100名ほどの議員がEU離脱協定案に反対を表明しており、否決される可能性が高まっているだけにポンドの下押し圧力となる可能性があり注意が必要です』と注意を促しています。
加えてカナダについて、『カナダ中銀の政策委員会では政策金利の据え置きが予想されるものの10月24日の利上げに続き、来年1月の追加利上げの可能性に言及する可能性もあるだけに注目されます』と考察。豪州については、『豪中銀政策委員会は金利据置きが確実視される中、労働市場や住宅市場の先行き見通しが注目されるほか、豪7-9月期GDPに対する豪ドルの反応も注目されます』との見解を示しています。
今週は注目するものが盛りだくさんですね。その分売買チャンスもありそうです。頑張ってまいりましょう!
上記の詳細コメントは、住信SBIネット銀行サイト内の「ウィークリーレポート」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
フィスコマーケットレポーター 三井智映子《HH》
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