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琉球大など、シロアリの体内で木材の消化を助けるスピロヘータを発見
タカサゴシロアリの腸内でキシラナーゼを生産する共生細菌(緑)の分布の様子。青い大きな塊は木片の自家蛍光。右上の差込み画像は、共生細菌の拡大蛍光顕微鏡画像。スケールバーは 10μm。(撮影:松浦優氏)[写真拡大]
スピロヘータは梅毒の病原などとして知られるバクテリアである。そういう事情から病原菌としてのイメージが強いのだが、琉球大などの研究グループが、タカサゴシロアリの体内で木材の分解を助ける働きをしているスピロヘータを今回発見した。
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梅毒の原因がスピロヘータ(梅毒トレポネーマ(Treponema pallidam))によることを発見したのは野口英世である。故に日本で一般にスピロヘータといえば梅毒スピロヘータを指すのだが、スピロヘータは範囲の広いバクテリア群の呼称であり、梅毒以外にも病原性スピロヘータは存在するし、ほとんどのスピロヘータは実際には自然環境下に広く存在する常在菌だ。
さて、タカサゴシロアリというシロアリは沖縄県八重山諸島に分布する。日本では唯一の、テングシロアリ亜科に属するシロアリで、大顎が退化している代わりに円錐状の吻を持ち、これで外敵に粘液を吹きかけて攻撃する。地面の腐った植物などを餌とし、森林の分解者としての役割を持つ。
このタカサゴシロアリが木材に含まれるヘミセルロースの主要成分であるキシランを分解するとき、木片とともに飲み込まれたトレポネーマ属のスピロヘータが、キシラナーゼと呼ばれる消化酵素を生産している。まとめればこれが今回の研究報告の内容だ。
ちなみにキシランは木材のみに存在するセルロースではなく、穀物や草にも含まれている。動物で自らこれを分解することのできる者は知られていないが、実はヒトもキシランを分解する細菌群を腸内に共生させている。ただ、スピロヘータとはまったく関係のない、系統の異なる細菌群である。
ただ、脊椎動物と昆虫で共通の機能を持つ共生細菌を独立に進化させられる傍証として今回の発見は重要であるという。
なお、研究の詳細は、米国科学アカデミー紀要電子版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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