関連記事
【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆トルコの発表に注目◆
*09:50JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆トルコの発表に注目◆
〇サウジ情勢緊迫など様子見材料多く〇
日本時間22日午後3時前後に、カナダ西海岸で立て続けに4度の地震が発生した。BC州ポートハーディの南西約200kmの地点で、最初はM6.6、次いでM6.8、6.5、4.9が1時間程度の間に発生した。人口が少なく、被害は伝えられていないが、米西海岸地震帯の北端に当たる。米国にも地学的リスクがあることを想起させる。南からは米国を目指すキャラバン(不法移民集団)がメキシコに入った。国連報道官によると推定人数は7000人規模に膨れ上がり、トランプ大統領は軍出動、厳戒態勢を指示している(メキシコに長期滞留するとの見方が一般的)。
米中間選挙前で模様眺めムードが強いなか、サウジ情勢の緊迫化が重荷となっている。23日にはトルコが事件内容を発表する予定で、サウジ説明との食い違いが出るか注目される(トルコは事件を米国との関係改善に利用しようとしている面があると言われる)。
NYダウは0.50%、126ドル安だったが、油田サービス大手のハリーバートン株の3%下落などが足を引っ張った。直接の要因は第4四半期利益見通しがアナリスト予想を下回ったことの様だが、エネルギー株と金融株下落が足を引っ張ったのは、原油相場下落でなく、オイルマネー(とりわけサウジマネー)縮小や中東ビジネスへの警戒感が出たものと思われる。
英BBC放送は反政府的な3人の王子が海外で行方不明と報じ、殺害された記者以外にも、反政府関係者の暗殺が恒常的に行われていた可能性を示唆している。焦点のムハンマド皇太子(12日付でアルワリード皇太子と記載したのは誤りで訂正してお詫びします)は、大統領娘婿のクシュナー上級顧問が盟友関係にある。イスラエル-サウジ-エジプトを軸とした米国の中東政策の対イラン、地域経済開発、パレスチナ政策などに影響が出るかどうか注目される。強気のトランプ大統領にも戸惑いが感じられる。ロイターはムハンマド皇太子とムニューシン米財務長官が会ったと報じている(サウジ国営TVのツイッター分析)が、場所や時間は不明。本日からリヤドで始まる経済フォーラム(砂漠のダボス会議)への出席を含め、動静が注目されるところだ。
22日の上海株が4%の急騰(抑制された売り物薄の中を駆け上がった印象で、政府要人が一斉に口先介入を行い、市場維持策を行っていると見られる。が、急変動自体がボラティリティの高さを証明し、それ程の安心感にはつながっていない)となったことでナスダック指数は反発した。中国情勢も引き続き大きな要因。
危機感の波は強弱が出るが、25日からの安倍首相訪中(日程が後ずれしたのは中国の要請。テロや反政府活動の動きがあったと言われる)、首脳会談の行方が注目される。新たに、批判が強い対中ODAの終了(1979年の改革開放から続けられてきた。有償円借款が中心だが、無償資金協力、技術協力も含み、総額3.65兆円に上る)と「開発協力対話」の立ち上げ、野村HDなどによる中国政府系ファンドとの1000億円超ファンドの立ち上げ、などが報じられた。
中国経済との関係は深いので、中国経済が一気に悪化するのも困るが、ここで深入りするのは如何なものか、との戸惑い感が市場にあると見られる。7-9月期決算発表での見極め要因になろう。
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/23号)《CS》
スポンサードリンク