9月の企業向けサービス価格、人手不足背景に前年比1.2%上昇

2018年10月26日 07:15

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 日銀は25日、9月の企業向けサービス価格指数(2010年平均を100とする)が前年同月比1.2%上昇となる105.0になったと公表した。前月からの伸び率(前年比前月差)は、8月よりも0.1ポイント縮まる結果となっている。テレビ広告に対する出向意欲が伸び悩んだことで広告関連が振るわなかったこと、北海道地震をはじめとする自然災害により宿泊サービスの上昇幅が小さかったこと、などが影響した。

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 現在、人手不足を背景とする人件費上昇を価格に転嫁する動きが続いており、企業向け価格指数が前年同月比を上回るのは63カ月連続となる。四半期で見ると7~9月で1.2%の上昇となり、これは消費税増税の影響により伸び悩んだ時期を除けば、1993年1~3月期以来、25年ぶりの高い伸び率だ。日銀調査統計局は「基調は引き続きしっかりしている」と判断している。

 企業向けサービス価格指数は、輸送、通信、広告など企業同士で取引を行うサービスの価格水準を総合的に示す指標。対象である147品目のうち、9月期に上昇となったのは82品目で、下落したのは27品目。上昇品目から下落品目を引いた差は55品目で、差し引きでプラスとなるのは22カ月連続となっている。

 品目別に見ると、上昇が顕著だったのは「運輸・郵便」。貨物輸送では「道路貨物輸送」は前年同月比3.5%上昇、「鉄道貨物輸送」は同0.6%上昇、「外航貨物輸送」は同14.3%上昇、「内航貨物輸送」は同7.0%上昇、「国際航空貨物輸送」は同15.8%上昇となった。また「国際空港旅客輸送」が同7.8%上昇、「国内航空旅客輸送」も同2.9%上昇と、旅客輸送も好調を保っている。

 一方、下落したのが「広告」で、「テレビ広告」が前年同月比3.5%下落、「雑誌広告」が同0.9%下落、「インターネット広告」が同1.4%下落となった。ただ「新聞広告」については同5.0%上昇、「折り込み広告」は同0.6%上昇、「その他の広告」は同1.1%上昇と前年比プラスとなっている。(記事:荒川・記事一覧を見る

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