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キリン堂が株主優待を導入 権利得るには1年以上の保有も条件に
関西を中心にドラッグストアを展開するキリン堂ホールディングス【3194】は17日の取締役会にて、株主優待制度の新設を決定した。その内容は持ち株数に応じて自社商品券や自社製ブランド製品を贈呈するものと、慈善団体への寄付を行うものである。
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また、株主優待の権利を得るためには一定期間株主でいることが必要条件として加えられた。昨今は、株式取引の手法を巧みに使うことで株主優待を「タダ取り」することが広く知られている。その対策として同社が決議したような株主優待権利の条件を取り入れる企業が増えている。この方式が普及することで本来あるべき株主に優待が送られるようになることが望まれる。
同社は1958年に大阪市で創業。1990年代から関西を中心にドラッグストア店を展開してきた。現在は中国にも卸売事業として展開している。
株主優待の詳細は、保有株式数100株から499株の株主には1,000円相当の自社商品券、ポイントもしくは、自社ブランド製品を選択して送られる。さらに500株から999株の株主には2,000円相当、そして1,000株以上保有株主には3,000円相当の同様の内容が送られる。また、同額にて日本赤十字社への寄付を選択することもできる。
次にもう一つの優待獲得の条件として、100株以上の保有期間が1年以上であることが加えられた。1年以上の詳細は、「前年2月末日→前年8月末日→当年2月末日」の3回連続で 同一株主番号にて株主名簿に記載または記録されていることだとのことだ。
近年、株主優待制度に対して問題点が挙がっていた。それは株主優待の「タダ取り」が蔓延していることだ。その方法は優待権利獲得日前後に現物買いと空売りを同時に行うのである。それによって売買による損失を抑えながら「売買手数料だけで優待をゲットできる」としてネット上で広く知られていた。合法的に優待を得られる手法として一部証券会社の公式サイトでも紹介されている。
これは法的には問題ない方法であるが、株主のリスクへの対価として与えるべき株主優待の本質からは外れたものである。これを看過するわけにはいかないとして企業側も株主として保有の継続を確認する流れが広がってきている。今回のキリン堂もこの流れに従った有意義な決議を行ったと言えるだろう。(記事:福井廉太・記事一覧を見る)
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