緊張によるストレスで皮膚から嫌な臭いが 資生堂が発見

2018年10月3日 11:52

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皮膚ガスの成分を分析する研究員(写真:資生堂の発表資料より)

皮膚ガスの成分を分析する研究員(写真:資生堂の発表資料より)[写真拡大]

 資生堂(東京都千代田区)は2日、緊張による心理ストレスが加わることで、嫌な体臭の元となるガスが皮膚から発生することを確認したと発表した。同社は、臭いの成分である2つの化合物を特定するとともに、臭いを包み込んで目立たなくする技術も開発。この研究成果を、日本生理心理学会で発表した。

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 同社は、長年、臭気判定士による体臭の研究を行っている中で、人が緊張によるストレス状態になると、硫黄化合物のような臭いを発することを発見。そこで、被実験者に初対面のインタビュアーが20分間、質問を続けてストレスを与える「インタビューストレス」試験を行い、その結果、この臭いの発生には再現性があることを科学的に確認した。

 さらに、臭いの原因となる成分を特定するため、インタビューを受けた人の皮膚から発生するガスを専用の機器で採取し、測定機器で分析。ガスの主要成分はジメチルトリスルフィドとアリルメルカプタンであることを突き止め、この2つの成分を「STチオジメタン」と名付けた。

 また、この臭いに対し、強い臭いでマスキングするのではなく、特殊な化学成分で臭いを包み込んで目立たなくする独自のSTアンセンティッド技術を開発したという。

 同社は2017年に、加齢臭の原因となる成分「ノネナール」が、皮膚からガスとして放出されていることを発見。皮膚ガスに関する研究成果は、今回が2回目となる。

 人は皮膚からガスを放出しているが、ガスの成分は体調や年齢、感情、食事の内容によって変化する。ガスの中には、アセトンなどほぼ無臭のガスもあるが、ノネナールや食べたものに由来する臭いのガスなども含まれており、これらが体臭の一因となる。

 同社は「今回の成果は、皮膚ガスが生理的に重要な指標であり、ガスによって心理的変化も捉えることができることを示すものだ」としている。また、今後はSTアンセンティッド技術を利用し、ストレス臭を防ぐデオドラント商品などの開発を進めるという。

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