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大手表面加工処理メーカーのトーカロ、東証一部貸借銘柄に指定される
兵庫県神戸市に本社を置くトーカロ【3433】は25日、翌日から東京証券取引市場第一部貸借銘柄に選定されることを発表した。同社は溶射をはじめとした金属の表面加工処理のメーカーで、その技術が多くのメーカーで活用されている。これまでの業績も好調でかつ利益率も高いのだが、株式市場では流動性が低く評価が伸びなかった。今回の貸借銘柄への指定によって株式市場での流動性が高まり、市場での評価が高まることが期待されている。
トーカロは1951年、東洋カロライジング工業(株)として創業。以後も金属表面処理のトップメーカーとして成長し、海外進出も果たしている。その技術は電力や鉄鋼、そして自動車と言った業界だけでなく、半導体や医療技術、さらには宇宙開発でも重要な役割を担っている。ちなみに溶射とは金属をいったん液状に溶かしたものを処理したい素材の表面に吹き付ける作業のことを指す。この技術であらゆる素材の上に金属の被膜を作ることができる。
株式市場では、かつて店頭公開(現ジャスダック)にて上場時に買収阻止のためにMBOを実施し、上場廃止をした。しかし2003年より東証二部にて再上場、2005年には東証一部に格上げされた。しかしそれ以降は知名度の低さとニッチな産業であったため、良い業績のわりに株価は低い評価を受けていた。
それでも同社の高い技術は様々な企業で受け入れられ、業績はさらに向上した。2018年3月期末では売上高341億900万円(前期比17.8%増)、経常利益は73億6,300万円(同26.9%増)となっていた。また地元兵庫県にある明石球場の命名権を買い取ることで知名度の向上にも努めていた。
その結果、同社は東証一部貸借銘柄への指定を受けることとなった。貸借銘柄の指定には一定の基準が必要で、企業としての規模と信頼性を認められたと言える。また、貸借銘柄になれば株式の「空売り」をすることができる。空売りは株価が下がっても利益を出すことができるようになる。したがって下げ相場でも株式の売買が活発になるため株式の流動性が活性化されることが期待される。(記事:福井廉太・記事一覧を見る)
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