ヨネックス、中高生用バドミントンラケット「ASTROX 55」発売 エースの冠狙う

2018年8月31日 06:30

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「ASTROX 55」(写真:ヨネックスの発表資料より)

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 ヨネックスは29日、ASTROXシリーズから、中級者に向けたバドミントンラケット「ASTROX 55」を2018年9月中旬より世界同時発売すると発表した。

 トップアスリート育成には、自身が持つ才能や努力に加えてコーチとの連携や科学的な支援も必須だ。そのような中でも、アスリートが使用する用具は特に重要である。バドミントンや卓球をやったことのある人ならば、ラケットの数グラムの重さの違いや反発力の違いが勝負に直結することを知っている。他方、スポーツメーカーは、トップアスリートが自社の用具を使用していることで、用具の性能をアピール。加えて、スポーツが好きな子供たちは、当然トップアスリートへの憧れから、アスリートが使用する用具を選ぶ傾向にある。

 では、バドミントンのトップアスリートは、どのメーカーのラケットを使用しているのであろうか。

 男子シングルス1位のビクター・アクセルセンは、ヨネックスのAX88Sを使用。狙い澄ましたスマッシュは、ラケットのコントロール性能と堅いシャフトが生み出す。

 女子シングルス1位のタイ・ツーインは、ビクターのHX-800LTD-Pを使用。正確なショットは、ラケットの優れた操作性と攻撃のパワーが生み出す。因みに、2位の山口茜は、ヨネックスのAX77を使用。フォロースルーの勢いと次のショットへの移行がスムーズなのが、彼女の武器だ。

 男子ダブルス1位のマルクス・ギデオンはヨネックスのAX88Dを、ケビン・スカムルジョはヨネックスのAX88Sを使用。パワーある攻撃的スマッシュと狙い澄ましたスマッシュが相手を圧倒する。

 女子ダブルス1位の福島由紀はヨネックスのAX88Dを、廣田彩花はヨネックスのAX88Sを使用。女子ダブルスでも同じラケットを使用するのは、攻撃こそ最大の防御である証なのであろう。

●「ASTROX 55」の特長

 より速いスマッシュが打ちたいという中級者の声、特に中高生を対象にしたラケットだ。スマッシュスピードを向上させ、打球時に瞬間的なパワーを発揮できる設計を採用。

 ローテ―ショナルジェネレーターシステムは、フレームの上部とジョイント部分、グリップの末端の3カ所に重量を配分。フォロースルーの勢いを落としにくくして、次のショットの準備が素早くできる。

 スピード向上と瞬間的なパワーを支えるのは、ニッタが開発した新次元カーボンNamdだ。柔らかく硬いという異なる性能を融合したカーボン素材をシャフト部分に採用。急激なスウィングスピードの上昇で大きくしなり、打球時のスピード急減で硬く復元。この性能がスマッシュスピードを向上させ、瞬間的なショットパワーを生み出す。

●バドミントンラケット(ヨネックス、「ASTROX 55」)のテクノロジー

 重さは78グラム。トップアスリートが使うラケットより、5グラムから10グラム軽い設計だ。中高生の体力と長時間の試合を考えた結果であろう。

 ヨネックスが世界に先駆けて開発した独自のフレーム形状「アイソメトリック」が、楕円形ラケットの中に均一な長方形のスウィートエリアを形成。スウィートエリア内では、正確なショットが可能だ。当初はテニスラケットで採用されたが、1992年にバドミントンにも搭載。

 今後もヨネックスのラケットをトップアスリートが継続使用するために、中高生向けのラケットを強化するという中期的な戦略であろう。2020年の東京オリンピック・パラリンピックやその後の世界大会に、現在の中高生たちがトップアスリートとして活躍する日も近い。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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