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三菱電機のスポーツ観戦用映像装置 阪神甲子園球場向け再受注
更新後のメインビジョンのイメージ(写真:三菱電機の発表資料より)[写真拡大]
三菱電機は27日、阪神電気鉄道から「阪神甲子園球場」のメインビジョン向けに、大型映像装置「オーロラビジョン」を受注したと発表した。
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テレビを筆頭に映像装置では、競合に先を越された感がある三菱電機だが、大型映像装置では、戦後日本のイノベーション100選に選ばれた実績を持つ。読者の殆どが知らないであろう1970年代の第二次オイルショック、その不景気の中でオーロラビジョンの初号機は、開発された。残念ながら、最初のオーロラビジョンの商談は、日本ではなく米国だった。米・大リーグのドジャースの会長が試作機を視察。会長は、野球場での有用性を高く評価。1980年2月、7月に開催される全米オールスターゲームに使うことを条件に、受注内定を得る。
オーロラビジョンの最初の用途は野球の表示板だ。表示板の発光素子は、直径数センチの小型CRT。赤・青・緑の光源管。プロトタイプ機は、太陽光が直射すると、画像が全く確認できない状態であったという。光源管にひさしで影を作る、光源管のガラスを発光色と同色にする、中央研究所の協力で反射光を制御する、など、全社一丸となる一体感が商談を支えた。5月の下旬、ドジャース副社長の立会い検査後、直ちに米国へ空輸。この技術が今も息づく。
当時の受注価格は300万ドル、1ドルが240円であった時代だ。テレビの普及がスタジアムへの観客動員数を奪う内、球場でしか見られない映像を演出。1981年ドジャースが16年ぶりにワールドシリーズ優勝したことも相まって、優れた映像装置が観客動員に有効であることを野球業界が認知。大リーグの他球団や国内での導入へと繋がる。甲子園球場もオーロラビジョンを採用、高校野球第100回選手権を支えた。
今回の発表は、甲子園球場でのオーロラビジョンの再設置契約だ。11月から工事を開始し、2019年3月のプロ野球オープン戦から運用を開始する。
●オーロラビジョンの特長
ピクセルピッチ8ミリメートルが高精細を支える。そして、水平方向視野角が150度のLEDを採用。現在の甲子園球場映像装置の4倍となる高い解像度を誇る。また、独自の黒色パッケージLEDを採用。従来比約1.5倍の高コントラストによる色鮮やかな映像表示を実現した。
大きさも桁違いだ。縦8.32×横29.76メートル、これまで3面に分かれていたメインビジョンのスクリーンを統合した1,217型である。1画面の実現は、表示コンテンツの自由度が増し、更なる活用方法が可能になるという。
●メインビジョン表示(三菱電機、オーロラビジョン)のテクノロジー
今回発表の技術の優位性を支えるのは、技術の蓄積であろうか。ドジャース受注後も、スクリーンをコンテナ化し据付工事を簡素化。当時未熟であったソフトウエアの開発は、香港の競馬場において海外のソフトウエア会社と協業。多様化する公営競技市場のニーズを自社開発に拘らずに、発展させたことであろう。
複数の大型映像装置が同期連動した多彩な演出は、ソフトウエアとハードウエアの融合の成せる業であり、オーロラビジョン初号機からの技術の蓄積が実る。生産は長崎の工場で一貫生産、技術の流出対策であろうか。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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