首長竜と翼竜は北太平洋で共存していた―東京都市大学の研究

2018年8月5日 10:54

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新たに発見された首長竜の頸椎骨。(画像:東京都市大学発表資料より)

新たに発見された首長竜の頸椎骨。(画像:東京都市大学発表資料より)[写真拡大]

 東京都市大学の知識工学部自然科学科中島保寿准教授らの研究グループは、同グループが2003年に翼竜の化石を発見した北海道三笠市の三笠層という中生代白亜紀(約1億年前)の地層において、新たに首長竜の頸の化石を発掘し、約1億年前、同地域において両者が共存していた事実を明らかにした。

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 現在の地球において地上の覇者となっているのは哺乳類であるが、今から2億5,000万年前~6,600万年前、中生代において地球上に繁栄していたのは爬虫類、なかんずく恐竜であった。

 恐竜は現在の考えでは、ワニに近い爬虫類から進化したものと考えられ、基本的には陸上で生活していた。また中生代には、空飛ぶ爬虫類だった翼竜、水中を泳ぐ爬虫類だった首長竜・魚竜、それにモササウルスの仲間なども繁栄していた(誤解される向きが強いが彼らは恐竜ではない)。

 さて、白亜紀の中頃というのは、恐竜の時代という基準からいえば終わりの頃である。この頃CO2の大気中濃度は現在の4倍もあったと言われ、ひどい地球温暖化の状況にあった。それによって花を咲かせる種類の植物(被子植物)や花粉を媒介する昆虫、鳥、カメなどが多様化していった一方、魚竜などは絶滅して、現在の生態系に繋がる基礎はこの頃に出来上がったと考えられている。それ故にこの時代の生態系を解き明かすことは肝要なのである。

 さて、今回見つかった首長竜の骨の化石は、北海道の厚さわずか30cmほど(1万年分ほど)の地層から発見されたわけであるが、この地層からは翼竜の骨、サメや硬骨魚類、二枚貝や巻貝、アンモナイトなどの化石が豊富に発掘されている。このようにわずか1万年分という短いスパンの地層からこれだけ多くの化石が見つかるのは稀有なことであり、同時代の生物相の実態を示すものとして貴重であるといえる。

 なお、今回の研究の詳細は、2018年6月3日に栃木県烏山市で開催された「第36回 化石研究会 総会・学術大会」において発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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