製造業界のIoT化、7割導入も活用は2割以下か 問題は

2018年7月30日 00:00

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記事提供元:エコノミックニュース

経済産業省が2016年に発表したものづくり白書によると、約7割に及ぶ製造業者が製造プロセスの中で何らかのデータを収集していると答えているにもかかわらず、実際にそれを可視化して活用できていると答えた企業は全体の15%程度に留まっている

経済産業省が2016年に発表したものづくり白書によると、約7割に及ぶ製造業者が製造プロセスの中で何らかのデータを収集していると答えているにもかかわらず、実際にそれを可視化して活用できていると答えた企業は全体の15%程度に留まっている[写真拡大]

 近年、製造業界では工場のIoT化が活発化している。ところが、それが期待される効果をあげているかというと、別の話のようだ。

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 経済産業省が2016年に発表したものづくり白書によると、約7割に及ぶ製造業者が製造プロセスの中で何らかのデータを収集していると答えているにもかかわらず、実際にそれを可視化して活用できていると答えた企業は全体の15%程度に留まっている。しかも、実質的にIoT化が進んでいるのは一部の大企業に限られている印象もある。日本の製造業のIoT化が抱える問題は何だろう。

 工場のIoT化はむしろ、資金やリソースに制約がある中小企業ほど導入するべきだ。工場の生産性向上、品質向上、エネルギー利用効率化、突然の故障による損失リスクの削減など、IoT化することでもたらされる恩恵は計り知れない。

 しかし、導入には資金がいる。大規模な設備投資は中小企業には困難だ。それでも頑張ってIoTを導入し、データを収集したとしても、それを活用できるノウハウも人材もないのが現状だ。そうなると、せっかく集めたデータもただの数字の羅列でしかない。さらに、工場で働く昔ながらの職人的気質の技術者の中には、最近のデジタル化に不満を持つ人も多いだろう。データを上手く活用し、それを現場に反映させないと、自分たちの仕事ぶりを監視する為のシステムだと勘違いされてしまう恐れもある。

 中小企業のIoT化を進めていくためには、まずは小規模なところから、設備投資をできるだけ抑えて導入していくことが必要だろう。また、大企業と違って、中小企業はその為の新工場を建設したり、設備導入の為に生産ラインを停止させるような余裕はない。そこで今、中小企業などのIoT化を実現するキーデバイスとして注目されているのが、電池不要・配線不要の無線通信デバイス「EnOcean」だ。

 EnOceanは、光や温度、振動など比較的微弱なエネルギーを集めて電力に変換するエネルギーハーベスト技術(環境発電技術)の一つで、変換した電力で無線通信を行う国際規格だ。日本では、電子部品大手のロームが、その普及と製品の開発に力を入れており、同社は2012年、全世界で400社以上の企業から構成されるEnOcean Alliance(エンオーシャン・アライアンス)のプロモーターにアジア企業として唯一就任している。

 例えば、ドーワテクノスが先日発表した、モータ監視IoTソリューション「リモータ・プロ」などが好例だ。EnOceanが搭載されたセンサユニット(電流センサ・温度センサ)を工場設備などの送水・送風・集塵に利用される大形商用直入れモータに取り付けるだけで、モータの状態監視ができるというもの。電源供給や配線が不要となり、センサ設置の手間が削減できる。さらに受信端末、モバイル回線、クラウド、監視画面のアプリケーションがワンストップで提供されているので、監視システム構築のためのサーバの準備や開発も必要なく、納入された機器を設置するだけでモータ監視が開始できるというスグレモノだ。1システムにつきモータ5台まで監視可能で、初期費用も150万程度と抑えられており、後づけなので昭和時代の工場でも最先端のIoT化が可能というわけだ。

 中小の製造業者の中には「うちみたいな小さな工場には関係ない」「必要ない」「費用が掛かり過ぎる」と後ろ向きの考えを持つ経営者が未だに多い。EnOceanを利用した「リモータ・プロ」のようなIoTソリューションがもっと普及すれば、そういった経営者たちの考え方も前向きに変わり、日本の製造業にも改革の大きな波が起こるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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