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人事評価は「見えている部分だけ」に偏りやすい
ある会社で人事評価結果の確認をするミーティングをしていた時のことです。評価者であるマネージャーたちに、それぞれが評価したメンバーたちの評価結果を確認する場でした。
比較的小さな会社なので、それぞれのマネージャーは自分の部署以外のメンバーのことにも目が届く環境ということで、必ず関係者が一堂に会したミーティングをおこない、そこで全社員の人事評価を確定するというやり方をしていました。
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基本的には、評価者の立場でメンバーを直接見ているマネージャーの評価が尊重されますが、ときどき議論になることがあります。
この日もある技術者のことが話題になりました。
直属マネージャーの評価では「知識がある」「手が早く作業の効率がよい」「仕事が早い」といっています。部門内ではベスト3に入る良い評価です。
しかし、仕事上で関係する別のマネージャーは「仕事が大ざっぱでミスが多い」といいます。それで自部門がフォローしなければならないなど、影響があるそうです。「仕事が早い」のではなく「仕事が雑」なのではないかと言っています。
直属マネージャーはミスの発生自体は知っていましたが、それほど重要なこととはとらえていませんでした。そのことについては簡単な注意をした程度で、本人の行動もあまり変わっておらず、相変わらずミスはときどきあるようです。
あらためて、ミスの部分を加味した評価に見直すことになりました。
今回の「仕事が早い」と「仕事が雑」の違いがどこにあるのかを考えると、前者は主にプロセスに着目していて、後者は主に結果に着目していたということです。
「仕事が早い」と評価した直属のマネージャーも、決して結果を軽視しているつもりはありませんでしたが、自分の視野にはミスという結果があまり見えていませんでした。そのせいで一面的な見方に偏ってしまっていて、全体像を見誤っていたといえるでしょう。
このように、同じ事象を見ているはずなのに、見方によって解釈が正反対ということはときどき起こります。その違いは、全体と思ってみていたことが、実は一面に過ぎなかったという視野の違いが原因になります。
「行動的」が「落ち着きがない」であったり、「提案力がある」が「口で言うだけ」であったりしますが、本質的な評価をするためには、全体の中でどの傾向がどのくらいの割合で出ているかということを見て判断しなければなりません。
「全体を見て評価する」というのは、意外に難しいことです。
きちんと全体像を見ているのか、視野がある一面だけに偏っていないかを、できる限り意識しておく必要があるでしょう。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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