豊かな音の環境がマウスの寿命を延長することを発見! 人も同じ可能性

2018年5月24日 08:34

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 マウスに自然環境の音を聞かせながら飼育することによって、平均寿命が最大17%延びることが世界で初めて発見された。

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 発見したのは、国立精神・神経医療研究センターや国際科学振興財団などの共同研究グループ。

 動物の生育環境を豊かにすることが、脳の発達や変化を促し、不安様行動の緩和するといったような、生存にとってポジティブな効果を持つことは知られている。

 しかし、このような効果を実際に証明するために、統計的信頼性の高い研究はほとんどなく、原因の一つとして、ゲージの中に玩具をいれるなど、複数の複雑な要因が関与していることが指摘されていた。

 また、健康面や安全面から環境を評価する尺度としては、環境の中に有害物質や放射線量など、物質とエネルギーを重視していた点もあげられている。

 そこで研究グループは物質とエネルギー、さらに情報という尺度を加えた『情報環境学』の観点から、音情報に着目した。音の環境の違いが、マウスの寿命にどのような影響を及ぼすか、長期飼育実験を行ったのである。

 具体的な実験の方法は、生後8週間のマウスを以下の3つの異なる音環境の元で飼育した。

 (1)高周波を豊富に含む熱帯雨林の環境音を呈示する広帯域音響条件
 (2)同じ音源から20kHz以上の高周波成分(マウスがコミュニケーションに主に用いる帯域成分)を除去した音を呈示する狭帯域音響条件
 (3)通常の実験動物飼育環境の暗騒音下で飼育する対照条件

 各条件ともオス16匹、メス16匹の合計32匹を1ゲージ4匹ずつに分け、オス・メスを別々に飼育した。

 結果、マウスのもっとも長生きしたのは、(2)の狭帯域音響条件で(3)の対象条件のマウスよりも平均寿命が17%も長かった。(1)の広帯域音響条件のマウスも(3)の対象条件マウスより7%長かったのである。

 他にもオスが環境音の影響を受けやすいことなどか判明したのである。

 国立精神・神経医療研究センターでは、マウスの実験結果を人間にあてはめることには慎重が必要としながらも、今回の研究の成果が、『今後人間にとって安全・安心・快適・健康な環境を実現するうえで、音環境を含む情報環境を適切に設計して整備することの重要性を示している』としている。(記事:和田光生・記事一覧を見る

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