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4か月ぶりの利上げも、トルコリラは下落基調継続か サンワード貿易の陳氏(三井智映子)
*18:25JST 4か月ぶりの利上げも、トルコリラは下落基調継続か サンワード貿易の陳氏(三井智映子)
皆さん、こんにちは。フィスコマーケットレポーターの三井智映子の「気になるレポート」です。 トルコ中央銀行が4月25日の金融政策決定会合で、市場予想の0.5%を上回る0.75%の利上げを行いましたね。利上げは4ヶ月ぶりのことで、後期流動性貸出金利は年13.5%となりました。しかしトルコリラは下落基調に歯止めがかからず先週も下落しています。なぜ下落しているのか、今後の動向がどうなるのか、トルコリラのレポートを今回はご紹介します。
レポートではまずトルコリラの下落の要因について高留まりしているインフレ率を挙げ、『トルコの物価は2017年11月に14年ぶりの高水準となる12.98%まで上昇。現在は10.23%上昇に落ち着いている。ただ中銀の最新調査によると、2018年末時点の物価見通しは1カ月前の9.49%から10.07%上昇まで悪化した。中銀の目標である5.0%を大幅に上回っている』としており、『市場は、利上げ自体は評価しているものの、インフレの再加速が予想されるため、0.75%の利上げでは不十分と見ているようで、1.5~2.0%の利上げが望ましいとしていた』と分析しています。利上げをしてもインフレ率が高ければ価格が上がらないわけですね。
次にレポートでは、トルコの格付けが引き下げられたことに注目し、『格付け会社S&P社は1日、トルコの信用格付けを投機的(ジャンク)等級内でさらに引き下げた。通貨リラが売られる中、インフレ見通しを巡る懸念が高まっていると指摘し「BB/B」から「BB-/B」に引き下げた』と紹介しています。
続いて経済指標については、『トルコ統計局が発表した4月消費者物価指数(CPI)は前月比1.87%上昇し、伸びは市場予想の1.6%を上回った。CPIは前年比で10.85%上昇し、コアCPIは前年比12.24%上昇した。統計発表を受け、中銀の物価管理能力を巡り懸念が高まり、トルコリラは過去最安値を付けた』と分析し、『今週のトルコリラ円は、下落基調が続きそうだ』との見解となっています。
そして今回の利上げはエルドアン大統領の反対を押し切ったものだと伝えられていますが、レポートによると、『エルドアン大統領の利下げ圧力を受けて、トルコ中銀が積極的に利上げを進められないとの懸念が出ている』とのことです。さらに、『エルドアン大統領は4月18日、2019年11月に予定されていた大統領選と国会総選挙を今年の6月24日に前倒しすると表明した』と解説しており、『トルコでは2017年4月の国民投票で、大統領に権限を集中する憲法改正案が僅差で承認されている。改憲内容の大部分が次期大統領選後に発効し、現行の議院内閣制から大統領制への移行が決まっている。経験基盤が再度強化されれば選挙対策のために財政拡大策を行う必要はなくなり、経済運営も落ち着くとの見方も出ている』との見解を伝えています。
トルコのインフレや利上げの動向とともに、大統領選と国会総選挙の行方も注視したいところですね。
上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の5月8日付「トルコリラ円、先週の動き・今週の予想」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
フィスコマーケットレポーター 三井智映子《DM》
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