富士通、電池交換の要らないビーコン 明るさ10分の1でも動作

2018年4月4日 06:54

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ビーコン外観(写真:富士通の発表資料より)

ビーコン外観(写真:富士通の発表資料より)[写真拡大]

 富士通は3月30日、IoT向けの「バッテリーフリービーコン(パルサーガム)」を機能強化し、4月末より出荷開始すると発表した。

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 ビーコンは位置情報を無線通信で取得する方式だ。同様な位置情報を取得する方式には、GPSやWiFi等があるが、ビーコンの優位性は、数センチメートルという高い精度で位置を測定し、室内や地下でも使用可能なことである。

 パルサーガムは太陽電池を内蔵した、電池交換の要らないビーコンだ。1mWという超低消費電力で動作。太陽光や照明光が当たると固有のビーコンID信号を発信する。スマートフォン等の信号を受信する機器と組み合わせることで、位置を特定したアプリケーションを実現する。例えば、道路交通情報通信システムでの渋滞状況の把握、雪崩に遭遇した登山者の救助などで活用されている。

 2020年度末までに販売15万枚を目指す。

●パルサーガムの特長
 電池交換が要らないエナジーハーベスティング製品だ。デバイスに内蔵する太陽電池の小型化や電源回路を改良し、従来品の約10分の1の明るさでの安定動作を実現。照明の抑えられた廊下や夜間の外灯近くでの活用が可能になる。

 従来製品に比べて30%小型化(幅19×奥72×高3ミリメートル)、重量も3グラムと軽量だ。全体をシリコーンゴムで覆っているため燃えにくく、落下時の衝撃も少ない。また、曲面への設置もテープで貼るだけと扱い易い。作業者のヘルメットや帽子、機器類への貼付、カードホルダに入れての活用など、屋内外を問わない幅広いフィールドで安心して利用可能という。

 大電力供給時のデバイス回路保護機能を内蔵。直射日光があたる場所での利用も可能だ。筐体封止による防滴性もIPX-7相当だ。建物やフォークリフトなど、屋外の構造物や機器類に貼付し、その所在や導線把握の市場を狙う。

●ビーコン(富士通、パルサーガム)のテクノロジー
 太陽電池の小型化と電源回路の改良により、従来の10分の1の照度で安定動作する。300ルクスの照度での発信頻度は、1.28秒に1回だ。300ルクス以下の照度でも間欠動作を実現した。無線周波数帯は、2.4ギガヘルツ Bluetooth Low Energyを使用。

 パルサーガムとIoTデータ活用基盤サービス「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform」と連携。パルサーガムでの信号をスマートフォンで受信後に、IoTデータ活用基盤サービスで状態を解析。人や物の位置や動線の把握、生産性向上に向けた業務分析などが可能となる。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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