苦戦続く「ほっともっと」と薄日差す「ほっかほっか亭」、中食企業2月売上

2018年3月11日 10:14

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 中食(なかしょく)企業各社が2018年2月の売上高を発表し、8兆円とも10兆円とも言われ、拡大が続く中食市場において、各社の競争が激しくなっていることが分かった。

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■カネミ食品はファミマ向け弁当が好調

 6日、カネミ食品が2月の月次売上高を発表した。前年同月比で、テナント事業の既存店売上高が101.5%、全店売上高が96.9%、外販事業が116.1%、全社合計が107.9%だった。

 テナント事業では、アピタなどユニー系列の店舗で「kanemi」「ease deli」などを展開。外販事業では、主にファミリーマート向けにお弁当やおにぎりなどを提供している。今期(2017年4月~18年3月)を振り返ると、期初の4月(テナント102.1%、外販:98.6%、全社:100.3%)こそテナントが好調だったものの、7月(同99.5%、103.1%、101.3%)以降は、テナント事業が前年比マイナス、外販事業が前年比プラスの状態が、ほぼ続いている。

 テナント事業の全店売上高が前年比マイナスとなっているのは、ユニーとドンキホーテとの兼ね合いによる売り場の減少がありそうだ。ただし同社のテナントと外販の事業規模は現状で同じくらいのため、即片方に注力するのも難しそうだ。

■主力の「ほっともっと」が苦戦続く

 持ち帰り弁当チェーンの「ほっともっと」などを運営するプレナスも2月の店舗売上高を発表。ブランド別の前年同月比で、ほっともっとの既存店売上高が94.6%、全店売上高が96.2%、やよい軒の既存店売上高が98.6%、全店売上高が104.4%、MKレストランの既存店売上高が104.1%、全店売上高が106.0%だった。

 今期(2017年3月~18年2月)のほっともっとは、9月(既存店:99.6%、全店:100.3%)、1月(既存店:98.5%、全店99.9%)のように、前年並みの月もあったが、全体的には低調に推移し、累計で既存店売上高が97.2%、全店売上高が98.2%に留まった。

 2月末時の店舗数は、ほっともっとが2,723店(前期末比+62店)、やよい軒が351店(同+22店)、MKレストランが33店(同+1店)となっており、ウェイトの高いほっともっとの回復を急ぎたいところ。

■「ほっかほっか亭」は既存店がようやくプラスに

 8日、持ち帰り弁当チェーン「ほっかほっか亭」を運営するハークスレイが2月の月次報告を発表した。前年同月比で既存店売上高が102.07%、全店売上高が98.35%だった。

 前期(2016年4月~17年3月)は、1年を通じて既存店、全店ともに売上高前年比マイナスだったものの、今期(17年4月~18年3月)に入って、ようやく11月に既存店売上高が100.82%と前年比プラスに転じた。12月は99.89%とわずかに前年割れとなったものの、1月が101.57%、そしてこの2月と2カ月連続のプラス。今期の推移を振り返ると、8月(既存店売上高:94.38%、全店売上高:93.13%)を底に上昇する格好となっている。

 全店売上高が低いのは、ここ5年に渡って店舗数が減っているため。合併もあって単純な比較は難しいが、2016年3月期時点では1,087店から、2017年3月期には1,016店となった。今期は2月時点で出店51店に対し、閉店93店となっており、1,000店を割り込むのは確実。競争が激しくなる中食市場において、どこで出店増に舵を切るかに注目したい。

■「神戸コロッケ」が好調続く

 9日、「神戸コロッケ」などを展開するロックフィールドが2月の月次実績を発表した。前年同月比で、既存店売上高が102.2%、全店売上高が101.8%だった。

 同社の中でも好調なブランドが主力の神戸コロッケで、既存店売上高が2017年3月から12カ月連続で前年比プラスだ。その他では、幅広く惣菜を取り扱う「RF1(アール・エフ・ワン)」、野菜中心の「グリーングルメ」が比較的好調。ただしジュースやスープを扱う「ベジテリア」が不振となっている。

 店舗数は発表していないが、前年比の既存店売上高は全店売上高を上回っている。好調な同社と言えども、中食事業の競争の激しさが垣間見られそうだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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