メキシコ、Lidarの技術によりマンハッタン級の古代都市発見

2018年2月21日 19:57

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●メキシコの森の下に眠る「アステカ帝国のライバル」

 リモートセンシングのひとつである「Lidar(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)」の最新技術により、メキシコの森から大規模な古代文明が発見された。研究者によれば、この文明こそアステカ帝国のライバルであったアンガムコの文明だという。また、その規模は現代の都市にも匹敵する巨大な遺跡群であることがわかってきた。

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●発見された4万におよぶ建造物

 コロラド州立大学考古学のクリス・フィッシャー教授率いる調査チームは、Lidarの技術により26平方キロメートルの区画から4万におよぶ建造物を発見した。この建築物の密集度は、現代のマンハッタンのそれに相当する。

 メキシコ西部で発見されたこの遺跡群は、アンガムコの文明に属するといわれている。アンガムコの文明は、西暦900年頃にプレペチャ族によって興された。メキシコの中心部にあったアステカ帝国とはライバル関係にあり、1000年から1350年にかけて人口は10万人を超えたといわれている。

●リモートセンシング技術によってようやく場所が特定された文明

 アルガムコの帝国は、数千年前に流れた溶岩の上に建てられた文明であったため、何世紀ものあいだ複雑な地形や森林によってその存在が隠されたままであった。Lidarの技術によって初めて、その規模と位置があきらかになりつつある。

 これまでも、ホンジュラスやカンボジア、グアテマラの考古学現場で用いられ成果を上げてきたLidarにより、地下に眠った文明の寺院、庭園、道路、宮殿、墓地などが発見された。

●水路も完備したアンガムコの文明

 調査によれば、アンガムコの遺跡では街を囲む8つの箇所に主な寺院や広場が建設されていたようだ。また、密集した建築物の合間には数え切れないほどの庭園が広がっており、アンガムコの街には水路が完備され緑化が行われていたことも判明している。

 フィッシャー教授は、「現代の都市計画を行う上でも参考となる都市であったことがよくわかる。アンガムコの人々は、水を有効に使うすべを熟知しており、街には緑があふれていたはずだ」と語っている。

●都市の滅亡は、スペイン人による侵略以前か

 遺跡から発見された遺物の放射線年代測定によれば、アンガムコの文明は15世紀のスペイン人の上陸以前に、2度ほど領土拡張の時期があったようだ。16世紀にメキシコがスペインによって征服される以前に、文明はなんらかの理由によって滅亡したと推測されている。

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