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農作業死亡事故、2016年は全国で312件 うち81%が高齢者
農林水産省や警察庁の発表により、交通死亡事故における高齢者の割合が増えるとともに、農作業死亡事故における高齢者の割合も増加していることが分かった。
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■1年間で312件の農作業死亡事故が発生
13日、農林水産省は2016年の「農作業死亡事故について」調査結果を発表した。2016年の農作業中の死亡事故は312件。2015年と比較して26件の減少で、ここ10年間で最も少ない件数となった。また2009年の408件から減少傾向が続いている。
事故の内訳を見ると、農業機械作業に関わる事故が217件と約7割を占めている。その中でも多いのが乗用型トラクターが原因の死亡事故だ。87件は全体の27.9%を占めており、乗用型トラクターが原因の事故は毎年約3割となっている。その他では、農用運搬車が36件(前年比+12件、全体件数における割合11.9%、以下同じ)、歩行型トラクターが35件(+14件、11.2%)など。また施設作業に係わる事故が14件(±0、4.5%)、機械・施設以外の作業に係わる事故が81件(-38件、26.0%)だった。
■増える高齢者の死亡事故
男女別では、男性が257件、女性が55件。また65歳以上の高齢者の死亡事故が254件だった。男性が約8割を占めるのは、ここ10年変化がないものの、高齢者の占める割合は徐々に高くなっている。これは農業従事者に高齢者が増えていることが原因だろう。
2007年は65歳以上の死亡事故割合は72.0%(387件中、286件)だった。2010年に80.7%(398件中321件)となり、2011年には76.8%(366件中281件)と下がったものの、2014年に84.3%(350件中295件)となって以降、3年連続で80%を超えている。高齢化社会となる中で、全体の死亡事故件数が減りつつも、高齢者の死亡事故件数が増えるのは、一般の交通事故でも似たような傾向がある。
■交通事故の死者数は最盛期の4分の1に
15日、警察庁は2017年の「交通死亡事故の特徴等について」発表した。2017年における交通事故死者数は3,694人。これは1949(昭和24)年の3,790人を下回り、警察庁が保有する1948年以降の統計で最少となった。過去に最も死者数の多かった1970年(第一次交通戦争時)の1万6,765人の約4分の1、1992年(第二次交通戦争時)の1万1,452人から約3分の1となっており、様々な対策が奏功したことが分かる。
■高齢者の死亡事故割合が高止まり
ただし、先に書いたように高齢者(65歳以上)の割合は増えている。2017年において、死者全体における高齢者の割合は、54.7%(3,694人中2,020人)だった。これは2016年の54.8%(3,904人中2,138人)に次いで高い数字だ。
2007年には47.4%(5,796人中2,749人)だったが、そこからジワジワと増え、2010年に50.3%と半分を超えた。翌2011年には49.2%と減ったものの、2012年に51.4%となって以降、6年連続で50%を超えている。
■農業事故への対策は?
一般の交通事故では高齢者が加害者にも被害者にもなりうるのに対して、農業事故では単独での自損事故が大半となるため、単純に同一視はできない。しかし一般の交通事故対策とともに、高齢者の農業事故対策も必須だろう。
判断能力や運動能力の衰えた高齢者に対して免許の返納を進める制度があるものの、これを農業事故に当てはめるのは難しい。トラクターなどの農業機械は農作業に欠かせず、それを取り上げては収入減となってしまうからだ。農業の担い手を増やす意味でも、安全な農機具や農業環境は必要だろう。関係者や業界の知恵と努力に期待したい。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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