NYの視点:米国政府、ドル高政策を確認、トランプ大統領の一般教書演説でも

2018年1月31日 07:38

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記事提供元:フィスコ


*07:38JST NYの視点:米国政府、ドル高政策を確認、トランプ大統領の一般教書演説でも
トランプ米大統領は30日、就任後初めてとなる一般教書演説を予定している。雇用や経済の強さを強調するほか、DACAなど移民で超党派の支持を得る考えであるようだ。また、2018年のアジェンダであるインフラにも言及する予定。為替市場では、貿易やドルに関する言及に注目している。

◎一般教書演説ポイント
1)雇用や経済
2)インフラ
3)移民
4)貿易
5)国家安全保障

就任直後、トランプ大統領は、米国の貿易赤字が巨大で、是正すべく、措置をとる公約をした。他国が競争に勝つために自国通貨を人為的に安くしているため、米国には勝ち目がないと指摘。まず、NAFTAをはじめとした協定、合意内容の見直し、再交渉に着手。米国の保護主義貿易への警戒感も浮上した。また、ムニューシン米財務長官も就任直後から、「短期的なドル安は貿易を支援する」とし、「長期的にドル高は米国の良好な経済をあらわす」としてきた。

ムニューシン米財務長官は先週、スイス、ダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて貿易にとりドル安が有利に働くとの発言が報じられると、米国がドル安政策に転じ、「通貨安戦争が勃発か」との警戒感も強まった。G20では声明で、競争的に通貨を安くすることを禁じている。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も、、通貨安戦争の時期ではなく、米国の真意を確認したいと述べていた。

ムニューシン米財務長官は30日に開催された上院議会証言の中で、「ダボスでの自分のドルに関する言及がメディアにより誇張されて引用された」と説明。「ドル安誘導の意思はなかった」と述べた。ドルに対する自身のスタンスは就任以降変わっていないとし、基本的に短期的なドルの水準を懸念せず、長期のドル高は強い経済を示すものになると見ていることを再確認した。

そのうえで、「介入のない自由な為替市場を強く支持する」「長期的な国益に叶うドル高を断然支持する」と、ルービン長官以来伝統的になっているドル高政策を強調する文言を就任以降初めて使用した。トランプ米大統領もCNBCとのインタビューで、「最終的に、強いドルを望む」「経済が強まれば、ドルも強まる」と、それぞれ米国のドル高政策を確認した。

トランプ米大統領による一般教書演説は、ダボスでの演説のように、保護主義ではなく、協調する姿勢を前面に出すものになるという。ドルの底入れの可能性もある。《CS》

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