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喫煙者・非喫煙者からの声 都が受動喫煙防止条例の意見を公表
東京都は、今後定めようとしている受動喫煙防止条例(仮称)に対して寄せられた意見を発表、これによると喫煙者からの反対意見が多く寄せられたことが分かった。
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■喫煙者からの反対意見が多く寄せられる
27日、東京都は「東京都受動喫煙防止条例(仮称)」に対する意見募集と「受動喫煙防止関連」の各種調査に関する結果を発表した。これは、健康増進の観点と2020年に開催予定のオリンピック・パラリンピックを見据えたもので、9月8日から10月6日まで、ホームページや郵送などによって意見を募集していた。
約1カ月間に5,085人から1万6,972件の意見が寄せられ、居住地では東京都内:3,577人、都外:1,325人、無回答:183人、性別では男性:3,570人、女性:1,375人、無回答:140人、喫煙の有無では喫煙者:2,034人、非喫煙者:2,766人、無回答:285人となっている。
寄せられた意見の区別では、規制強化を含めた賛成が6,464件、一部反対が3,185件、反対が5,007件、その他が2,316件と、反対意見が多めだ。日本たばこ産業の「2017年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は28.2%、成人女性の平均喫煙率は9.0%であることから、喫煙者からの反対意見が多かったことが伺える。
■従業員の苦境が感じられる意見も
資料では寄せられた意見を抜粋しているが、これまでにメディアなどで取り上げたものと大きく変わった意見はない。
賛成では、屋内の全面禁煙を希望する意見とともに、路上や公園などの屋外にまで対策を求めたものもある。さらに実効性の担保として、「過料ではなく、もっと厳しくすべき」「罰則を確実に適用する体制を整備すべき」と厳しめの意見もあった。
先日、チェーンレストランのサイゼリアが全面的な禁煙に踏み切ったが、チェーン店ではない個人経営の飲食店従業員からだろうか「雇用者の喫煙可の方針に従業員が反対意見を示すことは困難」との意見もある。
■屋内外で一律の規制に反対する意見
反対意見としては、一律の規制に抵抗を感じる人が多いようで、「喫煙者と非喫煙者の共存を図るべき」「本人の判断、喫煙の自由を認めるべき」などが寄せられている。
また飲食店の経営者側から寄せられたのか、「施設管理者の負担が大きすぎる」「飲食店は店頭表示を徹底すれば十分」との声もあった。その他には「罰則は止めるべき・厳しすぎる」「オリンピック期間限定で規制すべき」との意見も掲載している。
■8割以上が路上での受動喫煙あり
条例に関する都民の意識や飲食店の実態を調査した結果では、2015年に行った同様の調査との比較もでき、法的な規制に賛成した都民の割合は69.2%(反対:15.4%)で、15年の66.1%(反対:19.3%)から、やや賛成が増加した。
受動喫煙の有無では、「飲食店」(15年:73.6%→17年:77.3%)が相変わらず多かったものの、新たな項目として加わった「路上」(83.7%)が最も多い場所として登場した。
■居酒屋や小料理店はまだまだタバコ可
飲食店や宿泊施設を対象とした調査結果では、喫茶店やレストランなどの一般飲食店で禁煙や分煙に取り組んでいる施設の割合が64.0%だった一方、居酒屋や小料理店などの遊興飲食店では21.5%に留まっていることが分かった。また宿泊施設での禁煙分煙の取り組みは71.7%(全面禁煙:23.8%、分煙:47.9%)だった。
規制による経営への影響では、一般飲食店や宿泊施設が「影響なし」が最も多かった(一般飲食店:36.2%、宿泊施設:41.1%)反面、遊興飲食店では「売上減少」が過半(55.5%)となった。それを反映してか、一般飲食店や宿泊施設が規制に賛成する意見が多めだったのに対して、遊興飲食店では法律や条例による規制に反対する割合が6割を超えている。
個人経営かチェーン店かや、店舗の規模にもよるだろうが、小規模の居酒屋などでは厳しい判断を迫られそうだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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