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みずほ、構造改革を発表 人員1.9万人・店舗100拠点削減へ
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みずほフィナンシャルグループ(FG)が13日、人員・店舗数の削減を柱とする「構造改革」を発表した。この日発表した2017年4~9月期の連結決算では、純利益が3,166億円と前年同期比11.5%減少。純利益には取引先の貸し倒れに備えていた引当金の戻り益が前年同期の約8倍近い1,317億円が含まれることから、マイナス金利政策の収益力の低下が明確になった。
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みずほFGの2017年4~9月期の本業を示す実質業務純益(みずほ銀行とみずほ信託銀行の合算)は1,807億円と41%減少。本業の収益力低下を裏付ける数字となった。また「構造改革」ではパートを含む従業員7.9万人を2026年度までに6万人に削減し、拠点数も2024年度までに約500から約400に減らすことを明言。みずほFGは他のメガバンクに先駆けて構造改革に着手する。
みずほFGに限らず金融機関は、これまで利便性とサービスの拡充のため全国に店舗網を展開し、人員を配置してきた。大量の拠点と人員も本業である融資の利ざやの下支えがあってこそ維持可能であった。しかし、日銀のマイナス金利の影響を受け、大幅に収益力が低下。また今後、人口減少や金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックの普及により、競争環境も激変する恐れがある。そういった背景を受けての今回の構造改革はみずほFGが生き残るための、従来の銀行の体制との決別ともいえる。
また、構造改革ではフィンテックの活用により定型事務をロボット化することで人員を削減していく。他のメガバンクも事務のロボット化は計画しているものの、現時点では「業務量の削減」にとどめている。今回のみずほFGの構造改革に端を発し、他のメガバンクも追従して人員削減に踏み込む可能性は高い。しかし、人員削減には大きな副作用も伴う。既にみずほFGでは行内に波紋が広がっており、士気の低下が起きているという。しかも人員の削減は一定の収益改善は見込めるが、銀行の収益構造からの脱却はできない。
みずほFGでは一部地方での新規住宅ローンを取りやめ、事業構造の取捨選択にも着手している。銀行業務は預金、融資、為替だけではなく相続、贈与の相談業務や資産運用など広範囲にわたっている。士気を維持しつつ、構造改革を進めるためには、削減にとどまらない改革戦略を示す必要がある。
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