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「いつでも開いている」コンビニの、語られない懸案とは?
ファミリーマートのロゴ。 (c) 123rf[写真拡大]
コンビニエンスストアの大手3社が10日に発表した10月の国内既存店売上高によると、全社が前年同月比で減収となった。特にセブン―イレブン・ジャパンは12年7月以来、63カ月ぶりに前年実績を下回った。
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セブンの既存店売上高は0.5%減少し、客数も4.5%減少した。反面、1人あたりの購入金額を示す客単価は4.2%伸びた。ローソンは既存店売上高が4%減少し、客数も5%減った。客単価は1.2%増加した。ファミリーマートは既存店売上高が1.2%減少し、客数は4.8%減、客単価は3.6%増だった。
大手3社とも、既存店売上高と客数が減少し、客単価が増加した。セブンが5カ年以上に渡って続けていた対前年同月比増の記録も途切れた。フェイズが変わる兆候なのか?
少子高齢化の波がコンビニに及んでいる。今までのスタッフ採用の手法は通用しない。採用告知をしても店舗にはスタッフが集まらず、仮に採用できても定着しない。最低賃金の上昇で人件費も上がっている。深夜の時間帯にスタッフを揃えることが本当に厳しい。外国人や派遣スタッフを入れて、店舗はなんとか運営しているが、体力は間違いなく落ちてきている。
24時間営業の継続については、コンビニ間に多少の温度差が見られる。ファミマでは深夜の来店客が少ない店舗をいくつか選別して、深夜から未明にかけての営業をやめる「実験」を始めた。売上の減少度合い、人件費や光熱費等の経費削減度合い、チェーン本部からみた深夜営業継続の理由である検品や品出し・清掃などを総合的に検証する。
ただし、「いつでも開いている」ことを他業態にない利便性として社会に訴求してきた経緯もあるため、スタッフ不在の時間帯には店外に設置した自販機で商品が買えるようにしたり、レジなし店舗を実用化して店内の全商品をスタッフなしで買えるようにすることも選択肢に入れているようだ。
コンビニはチェーン本部と独立採算制のFC加盟店という構図で構成されているため、従来から運命共同体としての側面と、利益相反関係の側面を併せ持っていると指摘する声はあった。FC加盟店は零細な事業者がほとんどで、人手不足や出店競争による激しい競合で相当疲弊している。立地によっては、深夜の時間帯の来店客が閑散として、その時間帯だけに絞るとコスト割れしている店舗も珍しくない。
チェーン本部は他社との競合関係を意識して、売上の減少要因となる営業時間の短縮には拒否反応の示す例が多く、加盟店からの希望もないと公言するチェーン本部もある。ファミマが開けた「パンドラの箱」から何が飛び出すのか?セブンの連続記録途絶が何を意味するのか?身近なコンビニで起きている見えない変化に、敏感になるのも止むを得ない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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