日本車両、米国で受注した車両の開発を断念 解決金372億円支払いへ

2017年11月8日 19:14

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 JR東海の子会社である日本車両製造は、開発が遅れていたアメリカの鉄道車両の開発を断念したと発表した。2012年にカリフォルニア州とイリノイ州の交通局から受注したもので、鉄道車両130両を製造するべく開発を進めたが、種々の事情により難航。立て直しは困難との判断から、開発中止の判断に至った。同社は、受注を仲介した住友商事グループに約372億円の解決金を支払う。

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 受注されたのは2階建ての客車であったが、躓きの第一歩は、部品の調達をアメリカの企業によるものと制約する契約にあった。日本車両製造はアメリカでの部品調達にノウハウがなく、日本とは勝手が異なるため、難しい部分があった。

 第2の問題は、プロトタイプとして開発した試験車両に強度不足が見つかったことである。構造に由来する強度不足であったため、設計そのものを見直さなければならなかった。

 そして、そうこうしているうちに、主要な部品調達先の一つである台車メーカーが倒産してしまった。他のメーカーを探すにしても、まったく同一の部品を発注することは難しく、車体の構造をまた見直さなければならない。

 また、最終組み立てもアメリカ国内で行わなければならないという契約もあり、さらに、アメリカの法制度下では、納入後にも車両の不具合に対応することが求められる。以上、種々の問題から、事業撤退という判断に踏み切らざるを得なかったようだ。

 解決金は350億円を親会社のJR東海が貸し付けることで支払われるが、同事業をめぐる累計の損失額は、500億円規模にはなると見られ、日本車両は好調な国内事業を重点化して経営の立て直しを図る。

 JR東海がこの件とは別にアメリカで高速鉄道システムを売り込んでいるが、これは新幹線の技術を応用したものとなるため、技術面のハードルは低いとされる。ただ、アメリカに与えた心象面の悪影響については未知数である。

 なお、今回の事業そのものは、ドイツの鉄道車両大手シーメンスが引き継ぐことが既に決定している。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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