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「競争すること」への得意・不得意で思うこと
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」の運営会社であるスタートトゥデイでは、社員の基本給とボーナスは一律で、違うのは役職給だけという給与制度が話題となりました。
「よけいな社内競争をせず、お客をどう喜ばせるかを考えることに時間を使ってほしい」という社長の思いから始まった制度だということです。
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競争ということに関して言えば、そもそも日本人は本質的に「競争が嫌い」ということが言われます。聖徳太子の「憲法十七条」にある「和を以て貴しとなす」という言葉に代表されるように、古くから争いを避けることを良しとする考え方があったのは確かなようです。
例えば、「士農工商」のような身分制度も、上にも下にも行けないということで争いが起こらない基盤となっていたという話を聞きますし、そう言われると、近年までの企業の終身雇用や年功序列も、どちらかといえば競争を避けるような考え方とも思えます。
しかし、そうは言っても、資本主義経済の中であれば競争が必須ですし、働く人のほとんどが、社内でも社外でも何らかの競争の中にいるはずです。好むと好まざるとにかかわらず、みんなが競争にさらされています。
私がこれまでいろいろな企業の経営者や社員の方々に接してきた中で思うのは、企業の中での出世組や勝ち組と言われる人の方が、競争が好き、もしくは得意という傾向が強いということです。
ただ、そう言う人が全体の中での多数派かといえば決してそうではなく、あまり好きではないもしくは得意でないという人が、嫌々でも仕方なく競争の中に身を置いているように見えることは数多くあります。具体的な比率はわかりませんが、「日本人は競争が嫌い」と言われると、確かにそうかもしれないと思うところはあります。
ここで私自身のことで言えば、私は「競争が嫌い」というより、どちらかといえば「競争に興味がない」といった方が正しいです。スポーツの試合などでは結構負けず嫌いだったりしますが、これが仕事に関わることとなると、他人や周りがどうこうというより、結局は自分次第という意識の方が強く、競争意識はほとんどありません。「人は人、自分は自分」というような考え方です。
資本主義的な価値観からすれば、特に経営者、事業者がそれではダメなのでしょうが、こればかりは持って生まれた性格もあるので、簡単に変わるものではありません。
私と同じような人ばかりではないと思いますが、それでも「あまり競争をあおられても気乗りしない」「競争することに意義を感じない」といった人も含めて、「競争は得意でない」「競争は苦手」「競争は嫌い」という人は、意外に多く存在するのではないかと思っています。
私も人事が専門なので、仮にこのような前提があったとして、ではこういう人たちをどんな形でモチベートしていけばよいのかということをいろいろ考えてしまいます。
競争相手は日本人ばかりではないので、この国際競争にはそこそこ勝ちながら、日本人同士の競争は過度にあおらず、多くの人が気持ちよく働くことができる環境となると、これはそう簡単に実現できるようなことではありません。
「ZOZOTOWN」の給与一律というのは一つの考え方ですが、それだけで意欲が湧くとも思えませんし、これも過剰になると社会主義的といえなくもないですし、破綻してしまう恐れがあるでしょう。
「競争が好き・得意な人」から「競争が嫌い・苦手な人」を見ると、その人を無能だと思ってしまうことがあるようですが、決してそうではありません。競争心などがなくても立派な仕事をする人は大勢います。
これらのことについて、私の中ではまだ明確な答えはありませんが、少なくとも競争原理だけではない何かの価値基準を見つけなければいけない時期になってきているのではないかと思っています。
答えが見つかるまでには、まだ当分考え続けなければいけないようです。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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