博報堂アイ・スタジオなど、魚の骨格をARで可視化する「スケルギョン」開発

2017年9月27日 06:50

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「スケルギョン」の使用イメージ。(写真: 博報堂アイ・スタジオの発表資料より)

「スケルギョン」の使用イメージ。(写真: 博報堂アイ・スタジオの発表資料より)[写真拡大]

 水産庁が発表した2017年度の「水産白書」によると、食用魚介類の1人1年当たりの消費量は2001年の40.2kgをピークに減少傾向をたどっており、2015年度の調査では、25.8kgと落ち込んでいる。魚離れは販売する側にも影響が出ている。経済産業省の商業統計によると、1972年には5万6,165軒あった鮮魚小売店、いわゆる町の魚屋は、2014年には1万1,118軒まで減少。かつては町の魚屋さんとの会話の中で旬の魚やさばき方、調理方法などを教わることもできたが、スーパーなどで陳列されている魚をカゴに入れるだけとただ無機質な販売体制に味気ないと感じる生活者も多いようだ。

 そのような現状に着目し、デジタル広告の雄「博報堂アイ・スタジオ」と水産業界の活性化を目指す企業「フーディソン」では、それぞれの強みであるテクノロジーとITを活用した水産プラットフォームを掛け合わせ、漁師、鮮魚小売店、生活者の3者間の情報流通を活性化し、生産者と生活者をつなぐことを目指す「未来のお魚屋さんプロジェクト」を開始する。

 プロジェクトの第1弾として、博報堂アイ・スタジオでは魚の骨格をARで可視化するツール「スケルギョン‐SEEfood glass‐」のプロトタイプを開発した。魚の骨格を見える化することで、販売者が行うショーケースの魚の説明をより分かりやすく楽しくする販促ツールだ。フーディソンが主催する10月7日開催のイベント『もっと理解したい、魚と米のこと。』にてスケルギョンを実際に展示する。

 魚離れが進む背景には、魚のさばき方や調理方法を知らないことも要因と考えられている。開発中のスケルギョンの普及がより一層進めば、家庭で魚をさばく人や、魚料理を楽しむことも増えるのではないだろろうか。デジタル技術と食のコラボレーションによって、魚の楽しみ方も変化しそうだ。(記事:久保圭大郎・記事一覧を見る

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