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小田急の沿線火災の件で思った、「意思決定の速さ」がリスクマネジメントにつながるということ
小田急線の沿線火災が車両に延焼した事故で、いろいろな検証記事が出ています。私はいつも利用している沿線住民なので、他人ごとではないということもあり、それぞれ興味深く見ています。
そもそも沿線の火事が電車に燃え移るという事故は、未だかつて前例がないそうで、まったくの想定外だったそうです。
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大ざっぱな状況は、現場で電車に火事を知らせる目的で踏切の非常ボタンが押され、システムで電車は自動停止し、その停車位置が火災現場の真横であり、そこからあらためて電車を動かすには指令本部の確認、オペレーションが必要で、運転士は現場を確認して連絡する手順になっていたが、迅速な対応ができなかったということです。
記事を読んでいると、例えば非常ボタンはあくまで「踏切支障」を知らせるものなので、その使い方が良くなかったとか、警察や消防が現場でその都度口頭で指示していて混乱したとか、いろいろ理由はあったようですが、鉄道での安全確保のそもそもの発想として、何か起こったらとにかく電車を「いかに“早く”止めるか」ということと、「安全確認ができないうちは“発車させない”」ということだったので、今回のように「いかに“安全な場所に”止めるか」ということと、「その場から逃れるために“すぐ発車させる”」という状況は想定されていませんでした。
システム頼りということの怖さや、何か起こってから初めてわかるというのはありますが、この件についてある専門家が言っていたことで、私が印象的だったことがあります。それはシステムがどうこう言うような複雑な話ではなく、「警察や消防からの第一報が指令本部に入るルールになっていれば防げた事態ではなかったか」ということでした。
特に緊急時のコミュニケーションでは伝言ゲームを避ける工夫が必要で、それはわりと原則的なことですが、今までの手順にはそれが必要な事態の想定はなかったということです。
この手の話は会社の中でもよくあることで、例えば真っ先に知らせるべきリーダーへの連絡が遅れて対応が後手に回ってしまった、責任者に知らせずに処理しようとしたが対応しきれず問題が大きくなってしまったなどということがあります。どちらも全体状況を把握し、なおかつ現場に直接アクションできる人への伝達がされていない、もしくは遅れているということで、どちらの場合も問題は結果的に大きくなってしまいます。
今回起こったことは電車での事故ですが、運行再開には「慎重な意思決定」が優先され、それに向けた対応だけしか決められていなかったことで、結果として想定外ということになってしまいました。
似たようなことは組織のマネジメントでも起こり得ることですが、「慎重な意思決定」に慣れてしまっていると、いざという時にスピードアップすることはなかなかできなくなります。
「意思決定の速さ」は、平常時よりも緊急時やトラブル発生時により強く求められるということで、そのためにはやはり日頃から準備をしておかなければなりません。
今回の件から、「意思決定の速さ」はリスクマネジメントにもつながることで、常に意識していなければならないものだと痛感しているところです。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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