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ローム、世界初のノイズ設計フリーの車載オペアンプ開発 センサ市場にも朗報
「BA8290xYxx-Cシリーズ」(写真提供:ローム発表資料より)[写真拡大]
ロームは12日、車載センサ向けに、圧倒的なノイズ耐量を持つオペアンプ「BA8290xYxx-Cシリーズ」を開発したと発表した。200メガヘルツから1ギガヘルツ周波数帯域のノイズに対し優れた耐性を持つため、一般の車載オペアンプ周辺に必要だったノイズ対策フィルタが不要であるという。9月よりサンプル出荷を開始しており、2018年6月から月産100万個体制で量産を開始する予定である。
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近年の車載システムでは、センサで、温度・加速度・電流などの内部状態を取得して、最適化することで、燃費改善や先進運転支援を実現している。
一方、自動車の電子化により車載オペアンプ周辺回路も高密度化し、ノイズ対策が必須となっている。ノイズ対策は個別に行うことが難しく、組み立て後の評価が重要視されるが、評価結果が不合格ならば、大きな修正になる。
今回、世界で初めて車載センサアプリケーションのノイズ設計を不要にするオペアンプを開発し、高信頼化と設計期間短縮に貢献するという。
●オペアンプとは
外界の情報を取得して、コンピュータで制御するには、外界のアナログ信号をデジタル信号へと変換する。そのプロセスは、先ず、センサで外界の微弱なアナログ信号を取得する。そして、この微弱なアナログ信号を増幅して、その信号をコンピュータで処理可能なデジタル信号へと変換する。
この微弱なアナログ信号を増幅する回路が、オペアンプである。通常は、オペアンプのノイズを取り除くためのフィルタを、オペアンプの入力信号、出力信号、電源に取り付けるノイズ対策設計を行う必要がある。
●「BA8290xYxx-Cシリーズ」の特長
ノイズ設計フリー化が最大の特長である。世界的な車載信頼性規格のAEC-Q100に準拠し、車載で求められる全周波数帯域(200メガヘルツ~1ギガヘルツ)での出力電圧変動は、±1%以下に抑制されている。これは、一般品が±3.5%~±10%なのに対して圧倒的なノイズ耐量であり、一般品には欠かせない外付けのCRフィルタを不要とするという。
ノイズ設計フリー化は、外付けのノイズ対策部品の削減以外にも、設計期間短縮の効果も大きいであろう。オペアンプ回路はブラックボックスであるため、シミュレーションが困難であり、実測で評価する。必然的に、手戻りのリスクは高くなる。
一般品のオペアンプの消費電流0.7ミリアンペアと比較して、0.5ミリアンペアと優れている。また、標準的なオペアンプ端子配置で一般的な面実装パッケージとチャンネル数をラインアップしており、ノイズに懸念のある既存製品からの置き換えが可能という。
●オペアンプ(ローム、「BA8290xYxx-Cシリーズ」)のテクノロジー
独自のアナログ技術(新しいノイズ対策回路、長年培ってきたアナログレイアウト、独自のバイポーラプロセス)を融合して、全周波数帯域の出力電圧変動が±1%以下という圧倒的なノイズ耐量を実現している。
今後は高ノイズ耐量を実現するオペアンプ技術を、産業機器市場向けにも展開していくという。IoT時代のデータ取得の要は、センシングである。センシングのプロセスに必要なオペアンプがノイズ設計フリーになれば、IoT向けアプリ開発も加速されるであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る)
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