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若者の「上司への声掛け」の戸惑いと、「電話野郎」の話がつながっていると思うこと
ある記事で、「上司への仕事の相談をしたいとき、いつ、どのように声をかけたらいいのかを戸惑う若者が多い」というものがありました。
挙げられていた例では、自分が抱えている案件で上司に相談したいことがあったが、「今ちょっと、お時間よろしいでしょうか」と声をかけたところ、「今は忙しいので、また後で」という返事が返ってきて、「後でというのは、いつだったらいいのか・・・」と悩んでしまったというものでした。
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この話に対しては、「聞きたいことがある人が積極的にアプローチするべき」「いや上司の方が相談しやすい雰囲気を作らなければならない」などといろいろな意見が出てきますが、コミュニケーションの問題は、双方が歩み寄らなければなかなか解決しないので、それぞれどちらの意見も正しいのだと思います。
ただ、この話で私が思ったのは、少し前に話題になった「電話野郎」の話の共通するところがあるということです。
「電話野郎」というのは、ネット上で話題になったもので、いきなり電話してくる人のことを「デリカシーがない」「相手の時間を奪う行為だ」「失礼だし非常識」「気が利かない」と批判していた言葉です。
「用があるならまずメールかLINE、チャットで要件を言ってほしい」と言っており、「電話は相手の時間や行動を拘束、制限する行為なので、いきなり電話するのは失礼だし非常識」で、「電話はあくまで2番目の手段だ」と言っています。
この「電話野郎」の話と「上司への相談」の話で、何が共通しているかというと、「自分のせいで相手に時間を取らせる」「自分のために相手の時間を使わせる」ということに対して、その気づかいの度合いや敏感さが、若い人ほど強くなっているということです。
他人を巻き込む、他人の手を煩わせるということを良くないこと、できるだけ避けたいことと思っていて、それをするためには相手の時間の余裕など、良いタイミングを見計らっていかなければならないという意識が強いのだと思います。相手のテリトリーに踏み込むことには、ものすごく慎重だのだと思います。
これは「相手の都合をよく考える」「他人への配慮がある」「自分の都合だけを押し付けない」などということでもあり、そこから見ればこれらの意識は良い面だと言えます。
ただし、これを裏返せば、相手が自分のテリトリーに入ってくることにも慎重で、自分の時間に余裕がない時にはよけいな頼みごとはされたくないとか、予定外のことを振られるのは嫌だとか、そんな感覚も強いのだと思います。急な飲み会や食事会の誘いに乗らないなどと言う話をよく聞きますが、その会自体に魅力がないことと同時に、自分のペースを崩したくないという意識があるのも確かでしょう。
また強制、強引、一方的という相手の行動には、特に強く反発を感じるようです。上の世代は、「このくらい普通」「必要なこと」「仕事だから」などといって相手を動かそうとしますが、その世代では当たり前、仕方がない程度に思っていたことでも、若い世代では思った以上に強く反発を感じています。
上司に相談した時の「今忙しいから後で」という言葉も、若者はわりと強い拒絶と受け取っている可能性があります。また、ちょっとした指示命令や、軽いアドバイスのつもりで「こういた方がいいよ」などと言ったことも、場合によって強制と捉えていることがあります。
相手のテリトリーに立ち入ることも、反対に入ってこられることにも慎重で、良くも悪くもコミュニケーションに対して繊細であるということですが、こういうことはマネジメントする側でも意識しておかなければなりません。
こんな話をすると、すぐに「自分中心」「消極的」「打たれ弱い」など、若者批判のトーンになる人がいますが、私は「他人に気をつかう」「空気を読む」ということができるのは、今どきの若者たちの良い面だと思っています。
お互いがコミュニケーションを取りやすくするためには、やはりお互い相手のことを理解しながら歩み寄るしかないのだと思います。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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