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重要病害虫テンサイシストセンチュウ、日本で初めて発生が確認
A:被害例。B:テンサイシストセンチュウ雌成虫。C:同じく幼虫。(イラスト:農林水産省発表資料より)[写真拡大]
農林水産省は9月1日、長野県諏訪郡原村において、作物に甚大な影響を及ぼすおそれのある重要病害虫、テンサイシストセンチュウの発生が確認されたと発表した。同種の発生は、日本国内では初の事例となる。
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テンサイシストセンチュウは学名Heterodera schachtii、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、南北アメリカ大陸、オセアニアなど世界各地に広く分布し、アブラナ属の作物(野沢菜、カリフラワー、ブロッコリーなど)、フダンソウ属の作物(テンサイなど)、ショクヨウダイオウなどを寄主とする。
寄生された植物は生育の遅れ、黄化、地上部のしおれなどを生じ、枯れる場合もある。特に地下部でひげ根の異常生育という奇形を起こし、収量が著しく低下する。
人畜に対しては無害であり、万が一生きた状態のテンサイシストセンチュウが付着した野菜を人間が食べても、健康を害することはない。
今回の発見は、原村の畑において、アブラナ属の野菜の生育不良株から発見されたシストセンチュウを植物防疫所で同定したところ、日本では過去に未発生であったテンサイシストセンチュウであることが判明したという。
なお、テンサイシストセンチュウに近い仲間でジャガイモシストセンチュウという種もいて、これと同様、同種は土壌を介して広がることが分かっている。従って、適切な措置を講ずれば、急速な拡大は防止できると考えられる。
そこで長野県は、対策として以下の策を講じる、としている。
■発生範囲の特定のための調査
■蔓延防止策の徹底
・土壌の移動防止
・発生した畑における、規制植物の植栽を自粛
・発生した畑において、土壌の消毒を実施
・寄生植物の地下部移動に際し、植物防疫官が立ち会い、検査を実施
■有識者を参集し、対応検討会議を開催(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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