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「顧客の無理な要求」には応えなかった人の方がうまくいっている
ある新聞記事に、「顧客の無理な要求、どう対応?」というものがありました。
紹介されていたのは、昼食の弁当代こちら持ちのランチミーティングの強要と、休日のゴルフ送迎の強要ということでした。どちらも同じ会社の担当者からの要求のようで、高級な弁当を要求されるようになったり、自分が関係ないゴルフでも送迎を求められたりと、同じようにどちらもエスカレートしているようでした。
どうも自社の上司もそのことを容認していたらしく、この記事では個人の判断ではなく、会社としてどう対応すべきかの指示を受けるように勧めていました。直属の上司があてにならなければ、自分であてになる人を探して処理するしかありませんから、確かにその通りだと思います。
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私自身は、こういう無理な要求をしてくる顧客には出会ったことがありません。ただ、細かいことで言えば、初めの提案の時に意味なく恫喝されて無償対応を要求され、その場で断ったというような経験はあるので、いま思えばそういう顧客がこのタイプなのだろうと思います。
私の場合、自分が代表者の立場なので、そもそも自分が理不尽と思うような要求はその場で断ってしまうことができますし、そういう人とのお付き合いは続かないことがほとんどなので、たぶん出会う機会もないのでしょう。
周りの人を見ていてもそういう話はめったに聞きませんが、ごくまれに耳にすることはあります。これはずいぶん前の話ですが、ある社長が個人的なつながりがある顧客から、物品や金銭、飲食などを含めた様々な見返りを要求されていて、それに応じ続けてしまっているということがありました。
伝え聞いたところでは、社長自身は「仕方がない」「やむを得ない」と言っていたようですが、まさにありがちな形で要求はエスカレートしていて、その顧客からの発注状況に見合うものではなくなっていたようです。
こういう話で必ず共通しているのが、顧客に対する自社の力関係が圧倒的に弱いことと、自社の方で「仕事が減る」ということを極端に恐れているということです。
この「会社間の力関係」というのはどうしようもない部分があり、対処の仕方は会社全体としての判断でおこなっていくしかありませんが、もう一つの「仕事が減ることを恐れる」というのは、わりと個人の資質に左右されていることが多いと感じます。
これは経営者に限らず、「顧客数が少ない」「付き合いが狭い」「見込み顧客がいない」という人ほど、この手の筋が良くない顧客と付き合っています。「仕事が減ったら他の顧客で穴埋めする」と考えられるだけのリソースがないということでしょう。
こういう人が、たまたま顧客に弱みを見せてしまって、それを相手に握られて、それがたまたま弱みにつけ込むような人格の相手で、その人に出会ったせいで無理な要求をされるような関係になってしまったということだと思います。
私の周りには、たくさんの経営者や管理者、自営業者の方々がいますが、少なくともうまくいっている人からは、こういう「顧客からの無理な要求」の苦労話を聞くことはほとんどありません。しいていえば「あんな無理な話は断った」ということはたまに聞きます。
うまく行っている人の中にそういう話が少ないということは、やはり無理な要求に応えることにはそれほどメリットがないという一つの証明だと思います。
ただ、単純に「そんな人とは付き合うのをやめればいい」といっても、組織で働いていて一般社員に近い立場などとなれば、それはそう簡単にはいきません。すでにエスカレートした状態の顧客を引き継ぐようなこともあるでしょう。
こればかりは記事にもあったように、自分で抱え込まず、社内各署に会社としての考え方を確認していくしかありません。
こういう無理な要求というのは、得てして大きなトラブルや不正に発展することがあります。会社のコンプライアンスの面からも、できるだけ表沙汰にしていくことが必要だと思います。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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