医療市場での治験と営業、アウトソーシングが拡大傾向に

2017年8月23日 07:20

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 ミック経済研究所は22日、国内医療市場における治験と営業支援アウトソーシング市場の実態を捉えたマーケティング資料を7月に発刊したことを発表した。CRO(52社)、SMO(51社)、CSO(9社)への直接面談による取材を中心に、アンケートや電話調査を併用しながら最新情報を収集、市場全体を推定した資料になっているという。

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 CROとは製薬メーカーが行う医薬品開発業務を受託する事業者、SMOは医療機関が行う開発業務を受託する事業者である。CSOは医薬品の営業やマーケティングを受託する事業者を指す。

 近年の医薬品市場はジェネリック医薬品などの台頭によりコスト削減が加速し、治験や医薬品販売のアウトソーシング化のニーズが年々増加している。新薬開発のトレンドも刻々と変化しているため、柔軟に対応できるIT化および電子化も必然の流れになっているという。

■CRO市場の動向

 16年度のCRO市場は約1,872億円、21年度には約2,850億円規模へと成長すると予測している。製薬会社は近年コスト削減に努めていることから、アウトソーシング化が顕著になっている。とりわけ外資系製薬会社のアウトソーシング化が目立ち、国際共同治験を得意とするグローバルCROが成長をけん引したという。

■SMO市場の動向

 16年度のSMO市場は約423億円、21年度においては約429億円の微増傾向と予測。新薬の開発トレンドが生活習慣病など症例数の多い領域から、癌など症例数の少ないオンコロジー領域へと変わってきている。SMOの市場規模は症例数の多寡により決定されることから、規模の拡大が見込みづらい市場になると予測している。

■CSO市場の動向

 16年度のCSO市場は約727億円、21年度には約1,040億円市場に成長すると予測している。インターネットを中心とする多用チャネルにより、MRの数は全体に縮小傾向にあるが、CSO事業者内のCMR数は増加傾向にあるという。医薬品販売業務のアウトソーシング化は順調に推移しており、今後もメディアを介した多様なCSO事業者の増加により、さらなる成長が見込まれている。

 アウトソーシングと言えばコールセンターや配送業務などの受託業務を想起するが、近年は治験の分野においてもその波が来ている。クラウド化が進み情報の一元管理が可能になったことで、異なる事業者間同士でも密なコミュニケーションとスピーディーな業務が実現したことが大きい。転職市場ではCRO業者やCSO業者の積極的な採用活動も目立つことから、こうした受託事業者の成長には今後も期待をしていきたい。

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