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人手不足でやっぱり増えているミスマッチ
ある調査によると、主要企業121社を対象に実施したアンケートでは、36%の企業が人手不足を感じており、景気拡大が期待される一方で、商機を逃す要因にもなりかねないことに警戒する企業が増えているという話題がありました。
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その対策について、外国人の積極採用やITを使った省力化投資といったものがありますが、やはり一番は採用活動の強化ということです。
私の周りの企業でも、何かしらの採用活動をおこなっているところは非常に多く、なおかつなかなか決まらないという話を数多く聞きます。応募自体がほとんどないとか、採用基準や募集要件を見直してもなかなか決まらないとか、相当に厳しい様子がうかがえます。
採用活動にかかわる相談も数多く受けますが、小さな工夫の積み重ねでできることはあるものの、即効性のある取り組みはそれほど多くなく、本当に厳しい状況です。
その一方、同じく最近増えている相談は、社員のミスマッチに関わるものです。せっかく採用できたのに、その社員の仕事ぶりがあまりにも期待外れで、どうやって教育すればよいのかわからないとか、中にはあまりにも能力が足りないので、試用期間中で解雇できないかなどというものもあります。
またこのミスマッチが、特に最近は食い違いの度合いが大きくなっている感じがします。
その大きな原因は、自社の仕事に適性が低い人を採用しているということでは、やはり企業側にあるでしょう。
ただ、特に中小企業の採用活動というのは、すでに人員不足や業務過多がどうしようもないレベルで起こっていて、かなり切迫した状況で活動をしている会社が数多くあります。そうなると応募者の中で何とかなりそうな人をとにかく早急に選ぶということになりますから、多少のミスマッチには目をつぶっているようなところがあります。そんな事情を考えれば、会社側ばかりを一概に責めることもできません。
またこのところ、新たに採用した人が1週間で辞めたとか、中には3日で辞めたとか、そんな短期での離職を耳にすることが増えました。就職難の頃にはあまり聞かなかったことです。
売り手市場ということで、応募者の側もあまり仕事内容を理解していなかったり、自分の適性に合うかどうかを考えていなかったり、仕事を身につける努力をしなかったり、少しでも嫌なことは我慢しなかったりということが増えているようです。
以前であれば入社できなかったような会社に入ることができてしまったが、要求レベルが高くて苦しいなどという話も聞きました。
やはりこれもミスマッチということで、働く側にとってもあまり幸せなことではありません。
これらの動きは、求人企業と求職者の間に市場原理が強く働いているということでは仕方がないことですが、望ましいのはもう少しお互いの力関係がイーブンに近いことだと思います。ただ、人口減少の日本では、今後そうなる見通しは今のところほとんどありません。
売り手と買い手がいびつな関係は、局所的には勝ち組が生まれるでしょうが、全体としてあまり良いことはありません。条件が良い一部の会社に人材が集まれば、特に中小企業ではもう人は採れません。
かたや何もしなくても人が集まり、かたや何をしても人が集まらないということになり、そうなると採用広告や人材紹介などの人材ビジネスも成り立たなくなります。人手不足倒産のような話もこれから増えてくるでしょう。
こればかりは国策レベルの取り組みがあって、なおかつそれがかなりうまく進まない限りはなかなか改善されそうにありません。
今できることといえば、人手不足にはその会社なりにできることを考えて続けることと、売り手である応募者と買い手である企業という当事者同士が、ミスマッチを避けるためにお互いをしっかり見ていくことくらいしかありません。
考えれば考えるほど出口がない話になっていきますが、果たしていつか出口は見えるのでしょうか。私はまだちょっと先が見えずにいます。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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