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「上司に言われてどっと疲れが出る一言」を、言った自覚が上司にあるか
養命酒製造株式会社が、「東京で働くビジネスパーソンの疲れの実態」というテーマでおこなった調査の中で、上司の一言で疲れが倍増したと感じた経験を聞いたところ、そういう経験があると答えた人は50.1%と約半数という結果だったという記事がありました。
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そのセリフで最も多かったのは「常識でしょ/当たり前でしょ」で13.6%、次いで「そんなこともできないの?」が12.6%、「前にも言ったよね?」と「自分で考えてやれ&勝手にやるな」がともに 12.0%で続いたそうです。
上司の知恵や経験に頼りたいときに「常識」の一言で突き放されたり、うまくできないことや覚えていないことを嫌味のように問い詰められたりして、疲れが増すような思いをした人が少なくないようです。
挙がっている言葉を見ると、いかにも上司が嫌味や皮肉を込めて言いそうな言葉ばかりで、この結果を見て、多くの人が「そうそう」「あるある」と言っているのではないでしょうか。
調査によれば、部下の二人に一人がこういう経験しているということで、それを単純に置き換えると、上司の二人に一人は部下にそういう言葉を投げかけているということになります。この結果を見た上司はどう思うのかが気になりますが、たぶん部下の出来が悪い、仕事ぶりが悪いなど、それなりに言い分はあるのでしょう。
ただ、ここで気を付けなければいけないのは、多くのビジネスパーソンは、「上司の立場と部下の立場の両面を持っている」ということです。会社の中で上司がいないのは社長だけ、部下がいないのは新入社員だけですから、他の人はすべてがこの両面を持っています。
挙げられている言葉は、誰から見ても励ましや元気づけ、アドバイス、育成のニュアンスがなく、あるのは嫌味、皮肉、罵倒、ののしりのようなものばかりです。部下の立場で聞いたら明らかに気持ちを萎えさせる言葉で、それは確実に不快なものであるはずです。
しかし、部下の二人に一人が経験したということは、同じ人が上司の立場になったときに、それを言っている人が大勢いるということになります。
それは、そんな自覚がないままで部下や後輩にそういう言葉を投げかけているなど、自分の言動の問題に気づいていない上司先輩がたくさんいるということです。「自分がされたら嫌なことは他人にもするな」というのは、小さな子供相手にもいうことですが、それができていないということです。
なぜそんな基本的なことができないのか、はっきり言い切るのは難しいですが、考えられるのは上司先輩の側の、心の余裕などの心理的な問題です。人のことまで気にかける余裕がなくなり、それが雑な対応や態度になり、ヒエラルキーとして下になる部下や後輩の扱いに影響しているということです。
こういう言葉があたえる気分に関することは、組織マネジメントの中では些細なことと思う人もいるかもしれません。しかし、このようなメンタルに関わることというのは、なかなか数値化して見えないためにあまり表立った問題にはなりませんが、実はかなり重要なことです。
起こっていることを突き詰めると、「上司からのフォロー不足」が、全階層的につながっているということになりますが、これを解決するにはいろいろな取り組みが必要です。会社全体の環境作りも、適切な目標設定も、社員が心の余裕を持てるような取り組みも、本当にいろいろです。
もしも上司の一言で「あーあ・・・」と心が折れて、手が止まりがちになる時間が仮に一日たった5分でもあったとして、それが社員の半数に波及していると考えたら、やはりこれは大きな問題ではないでしょうか。
いずれにしても、上司が部下にかける言葉は、注意を払わなければいけません。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。
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