起業家の約4割が気分障害・不安障害の疑いあり、ゼロベースが調査

2017年8月11日 07:31

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 ある社長が言っていた一言、「メンタルでつぶれる起業家と、つぶれない起業家がいる」。人知れず一人で日夜戦っている起業家の心の中とは?WEB開発などを行っている「ゼロベース」は日本の起業家のメンタルヘルス(心の状態)についてインターネット上で調査を実施した。

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 日本の起業家のメンタルヘルスを調査したところ、37%が気分障害・不安障害の診断基準を満たすと推計された。起業家でない人の気分障害・不安障害は5%、つまり起業家は一般人の約7倍という数値となる。

 起業家は事業経営上のストレス(特に資金面)を常に抱えがちだが、周囲の人間や部下にそういった姿を見せる人は少ない。つまり、起業家はメンタルの問題が露見しにくく、周りからは心が痛んでいるとは把握しにくいようだ。

 海外のUCバークレー&UCサンフランシスコの調査によると、起業家の72%がメンタルヘルス上の懸念を申告し、特に「鬱」「ADHD」は3割、「物質依存」と「双極障害」は1割、という調査結果が出ている。(「起業家になったからADHDになった」といった因果関係を直接示唆するものではない点には注意が必要)

 海外でも「起業家はメンタルヘルスを損ねている」という調査結果が出ており、また社会の関心も高まっているという。一方、日本では起業家のメンタルヘルスに関する調査はごくわずか。起業家の多くは常に過大なストレスを抱えており、その犠牲からほんのひとにぎりの成功者が生まれるという。現在、政府・自治体はより多くの起業家を育てようと力を注いでいるが、起業家のメンタルまでをサポートする配慮はない。日本が起業家大国になるには官民一体で起業家を支援する動きがあっても良いのかもしれない。(記事:久保圭大郎・記事一覧を見る

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