大和証券、AIが提案する銘柄情報の提供を開始、他証券との差別化を図る

2017年5月10日 09:22

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 大和証券は9日、大和総研が開発した人工知能(AI)による株価予測モデルを用いて選定した、国内株式の情報提供を5月中から開始すると発表した。AIを活用する投資としては投資信託などの運用サービスが多い中、個別株の情報提供によって個人投資家を取り込む狙いだ。

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 大和証券グループのシンクタンクである大和総研は、国内の上場企業の決算データなどを機械学習によって解析し、独自に株価予測モデルを開発してきた。最新の機械学習アルゴリズムを取り入れることで、高い精度を目指しているという。実際に行われたシミュレーションでは、決算発表2営業日目から1カ月間に株価が上昇する可能性が高いと判断された銘柄の平均が、ベンチマークを上回る結果を示した。

 大和証券ではこの株価予測モデルを使用して選定した銘柄についての情報を提供する。顧客は従来のアナリストによるレポートなどの加え、最先端のAI技術を活用した銘柄情報も閲覧できるようになる。将来的には、セールス・トレーディング部門でも活用を検討しているという。

 AIを活用した投資として現在中心になっているのは、「ロボアドバイザー」による運用サービスだ。個別銘柄への投資ではなく、投資信託や指数に連動するETFなどを投資対象とする。大和証券では「ダイワファンドラップオンライン」が該当し、PCやスマートフォンで簡単なアンケートに答えていくと、最適な投資対象と比率を提案し、国内外の株式や債券にバランスよく投資できる。株価の変動によって当初の投資対象の比率が崩れると、自動的に売買し比率を調整する。

 売買まで任せる「投資一任契約」以外にも、アドバイスのみ受けられるというサービスや、AIが投資対象を選定する投資信託もある。初心者や投資へ時間を割けない人にも取り組みやすく、徐々に広がっている。

 オンライン取引が普及した今、個人投資家の証券会社選びは、取引手数料だけでなく投資情報の充実度も重要視されている。今回大和証券が発表したAIによる個別銘柄の提案は、自ら積極的に情報を収集して投資をする中級者以上の個人投資家の取り込みに一役買うかもしれない。(記事:高橋珠実・記事一覧を見る

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