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課題山積? リニア名古屋駅工事がまもなく着工
鉄道の地下工事といえば先日陥没事故を起こした福岡市のJR博多駅前が想起される。JR東海柘植社長も「リニア計画を進める上で事故から学ぶべきことは学びたい」としている。[写真拡大]
国土交通省が2027年に品川・名古屋間での開業を目指しているリニア新幹線。様々な問題を抱えつつも、とうとう12月19日にJR東海<9022>が名古屋駅の本格的な工事を始めることが分かった。リニアの新駅は現在の名古屋駅と交差する形で地下30メートルの深さに作られる予定だ。長さは東西1キロで、用地買収の必要がない駅直下約220メートルの部分から工事を開始する。施工は大林組を代表とする共同企業体やジェイアール東海建設が担う。
リニア新駅の建設は業界の中でも屈指の難工事とされている。それは地上から穴を開けて掘り進める「開削工法」である一方で、新幹線や在来線を通常通り営業させながら行わないといけないところにある。そのためにはまず土留めの壁を設けて、地下を掘り進める前に現在の線路を支える作業が必要となる。この掘削の準備段階における工事だけで3年ほどかかるのだ。
工事以前の課題もある。先に工事を行う名古屋駅直下は自社用地だが、東西にはみ出す部分はこれから用地取得が必要になる。地権者は約700人。全面着工を予定する19年度までに彼らとの用地取得交渉も進めなくてはならない。JR東海から委託を受けた外郭団体「名古屋まちづくり公社」がスタッフを大幅に増やして交渉を急いでいるが、地権者からの不信感だけでなく彼らの相続や譲渡、引越なども絡み合い取得は難航している。
もう一点、残土の問題もある。掘削の前段階の工事に限っても1万立方メートルほどの残土が発生する見込み。さらに掘削やトンネル掘削などを合わせると愛知県だけでも約650万立方メートルの残土が発生する見通しだ。残土問題は既に工事が始まっている東京や神奈川でも根強く、残土を運ぶトラックによる生活環境の悪化などが周辺住民から懸念されている。JR東海によると残土の処理場所として愛知県から複数の候補地を紹介されているが、各地の関係者と協議している段階だ。
政府はインフラ整備の一つとしてJR東海に対して3兆円を融資することを16年度第2次補正に盛り込んでいる。国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資を活用したものだ。同社の柘植康英社長「工事の安全、環境保全に加え、地域との連携を保ち工事を進めたい」と話している。主導するJR東海や国と現場との間にギャップが生じていないか-。今後が注目される。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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