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本格的なIoT実現に向け動き出した日本、Wi-SUN FAN無線機開発
京都大学とローム、日新システムズの産学連携プロジェクトが、Wi-SUN FAN無線機の開発に成功。IoTの飛躍的な促進に期待がかかる。[写真拡大]
世界規模で注目が高まっている、「モノのインターネット」こと、IoT。
IoTは、世の中に存在する様々なモノに通信機能を持たせることで、相互に情報のやり取りをしたり、インターネットを介して自動認識や自動制御、遠隔計測などを行い、世の中をより便利で快適にするソリューションとして期待されているものだが、それを取り巻く技術も日進月歩で進化している。その一つが、IoT構築に最適な国際無線通信規格「Wi-SUN」の新規格「Wi-SUN FAN」だ。
2016年11月14日、科学技術振興機構は、「新国際無線通信規格Wi-SUN FANに対応した無線機の基礎開発に成功~手軽にIoTが実現できるマルチホップ対応 無線通信ソリューションを提供~」とプレス発表した。これは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)主導の下で行われている革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として、京都大学及び、ローム、日新システムズが産学連携で開発を進めているもので、モジュールをロームが、ソフト開発を日新システムズが担当している。
「Wi-SUN FAN」の大きなメリットの一つがマルチホップ通信だ。マルチポップ通信を用いると、アクセスポイント等を経由しなくても、端末同士が無線伝送により通信することが可能だという。さらに途中の端末が中継してくれることで、無線電波変動や電波障害などが起こった場合などでも、相互接続される端末群で一時的なネットワークを構築し、迂回経路を探索して、常に安定的な通信を確保することができる。この特長から、数キロ圏内にある数百個のセンサ情報を送信することが可能となり、現在開発が進んでいるスマートシティ、スマートグリッドを構築する様々なアプリケーションにおいて相互運用可能な通信ネットワーク技術として期待されている。
また長期間の稼働が可能な省エネ性も兼ね備えており、単3電池3本で約10年の長期間利用が可能になったこともメンテナンスの観点から見て大きなメリットのひとつであろう。
さらに今回、基礎開発に成功した無線機は、国際無線標準規格IEEE802.15.4/4g/4e技術を核に、Wi-Fiシステムで導入実績のあるインターネット接続用国際規格を利用しているため、アプリケーション開発が劇的に容易になる。技術もさることながら、本格的なIoT実現に向けて日本のトップクラスの企業が産学連携プロジェクトに積極的に乗り出したことは、業界内外で大きな注目を集めている。これが普及すれば、マルチホップを利用したIoTが促進され、 日本は世界のIoT市場で大きくリードすることになるだろう。(編集担当:藤原伊織)
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