エナジードリンクの飲みすぎに急性肝炎のリスク

2016年11月7日 09:26

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記事提供元:スラド

米国で50歳の健康な男性がエナジードリンクを飲みすぎて急性肝炎を発症したそうだ。BMJ Case Reportsによると、エナジードリンクの過剰摂取による急性肝炎の症例は2件目だという(論文The Registerの記事Foodbeastの記事)。

男性や家族に肝臓病の病歴はなく、医師の診察が必要になったことも過去数年ないという。20代でタトゥーを入れているが、血液製剤の輸血を受けたことやリスクの高い性行動などは否定している。また、発症前には処方薬・市販薬いずれも使用しておらず、食品の変更やアルコール・タバコ・違法ドラッグの使用もしていない。

ただし、男性は建設関係の労働者で、体力を消耗する仕事に耐えるため、発症前の3週間は毎日4~5本のエナジードリンクを飲んでいたとのこと。男性は2週間にわたって体調の不良を感じていたが、茶色い尿や黄疸が出たことから救急病院で診察を受けることにしたそうだ。

急性肝炎の原因としてはエナジードリンクに含まれるナイアシン(ビタミンB3)が疑われるが、ナイアシンの肝毒性は摂取量によると考えられている。ナイアシン500㎎以上の摂取で最大20%の人が一時的に無症状の高トランスアミナーゼ血症になるが、男性が1日に摂取していたナイアシンは160~200mgとみられる。

エナジードリンクに含まれる他の成分には毒性に関するデータが限られているものもあり、異なる成分の組み合わせによる作用についてはあまり知られていない。ただし、男性が飲んでいたエナジードリンク1本に含まれるナイアシンは推奨される1日の摂取量の2倍にあたる40mgであり、毎日4~5本を21日以上飲み続けたことによる累積効果の可能性もあるとのことだ。 スラドのコメントを読む | idleセクション | 医療 | idle

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