中国、石炭価格上昇、渤海動力煤価格指数は14週連続上昇

2016年10月2日 13:49

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記事提供元:フィスコ


*13:49JST 中国、石炭価格上昇、渤海動力煤価格指数は14週連続上昇


中国で石炭価格の上昇が続いている。秦皇島海運煤炭交易市場公司が発表する「環渤海動力煤価格指数」(※)は今月21~27日の週に561人民元(約8400円)を付け、前週の554人民元から7人民元(1.26%)上昇した。同指数が上昇するのは14週連続。年初の371人民元に比べると、190人民元値上がりした計算で、上昇率は51.21%にも達する。

中国の石炭価格はここ数年、ほぼ一貫して下落していた。景気減速で需要が低迷する一方、生産能力の過剰が解消されない中、需給バランスの崩れた状態が続いていたためだ。こうした事態を受け、中国政府は第13次5カ年計画(2016~20年)の期間中、石炭と鉄鋼に重点を置き、生産能力の削減を進める方針を示している。うち石炭については、今後3~5年で生産能力を10億トン削減する計画だ。

実際に減産の動きが進んだことで、石炭価格は6月に入って底打ち反発に転じた。「環渤海動力煤価格指数」は8月24~30日の週に3.78%上昇し、過去最大の値上がり率を記録。その後、3週連続で記録を更新し続けている(8月31日~9月6日は4.25%高、9月7~13日は4.27%高)。

石炭価格上昇の要因としては冒頭で触れたように、「供給サイド改革」の進展による需給バランスの改善が挙げられる。また直近では、9月21日付で石炭の自動車輸送に関する積載量規制が厳格に実施されるようになったことで、輸送コストが上昇したことも影響しているという。10月は冬季暖房用の石炭備蓄シーズンに入るため、価格の上昇圧力がさらに高まる可能性があるとみられている。ドイツ銀行は最新リポートで、「環渤海動力煤価格指数」が冬場に600人民元の大台に乗せると予想した。

ただ、石炭価格の上昇が長期的なものになるかどうかは不透明だ。今月21日の時点では、「足元で急上昇する価格を落ち着かせるため、中国政府が中国神華能源(1088/HK)などの大手に対して増産を認めた」と報じられた。また、政府がクリーンエネルギーの普及に力を入れる中、石炭需要の伸びしろは限定的とみられている。


※環渤海動力煤価格指数=環渤海エリア(中国の主な石炭積み出し港が集積する)で
取引される熱量5500キロカロリー発電用石炭の1トン当たり平均価格。1週間ごとに発
表される。


【亜州IR】《TM》

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