15年度のシェアリングエコノミー市場は285億円―20年には600億円の予測

2016年7月23日 21:51

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記事提供元:エコノミックニュース

 矢野経済研究所では、国内のシェアリングエコノミー(共有経済)市場の調査を実施した。調査期間は2016年4月~6月、調査対象はシェアリングエコノミーサービス提供事業者等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・電子メールによる取材、ならびに文献調査を併用した。この調査におけるシェアリングエコノミーとは、不特定多数の人々がインターネットを介して乗り物・スペース・モノ・ヒト・カネなどを共有できる場を提供するサービスのことを指す。但し、音楽や映像のような著作物は共有物の対象にしていない

 シェアリングエコノミーサービスの市場規模について、乗り物・スペース・モノ・ヒト・カネのサービス分野別に見た場合、最も市場規模が大きいのは、乗り物のシェアリングエコノミーサービスである。乗り物のシェアリングエコノミーサービスの中ではカーシェアリングが大部分を占めており、ライドシェアの占める割合はまだ僅かであるという。カーシェアリングは、国内に登場したのが 2002年と古いこともあり、2014年頃から提供が開始されたその他のシェアリングエコノミーサービスと比較して市場規模が大きいという。

 2014年度は、UberやAirbnbなどの海外で先行的に普及したシェアリングエコノミーサービスが日本市場に参入し、その動向が話題となった。また、クラウドソーシング協会およびクラウドファンディング協会が設立され、関連事業者がサービスの情報発信や販促活動に努めた。こうした取り組みもあり、シェアリングエコノミーサービスを試験的に利用する人が増加し、2014年度の国内市場規模は前年度比34.7%増の232億7,500万円(サービス提供事業者売上高ベース)となった。

 2015年度は、旅館業法の特例が施行されたことで民泊市場に参入する事業者が増加した。また、モノのシェアリングエコノミーの分野ではファッションシェアリングサービスが次々と開始された。その他、クラウドファンディングの利用も増加しており、同年度の国内市場規模は前年度比22.4%増の285億円であった。

 2016年度は旅館業法施行令が一部緩和された上に、2017年の通常国会に民泊新法が提出予定であることから、それに向けて民泊市場への参入事業者やサービスの利用者がさらに増加していくと見る。また、法規制の壁が特にないオンライン駐車場予約サービスの利用が堅調に増加していくと見込む。その他、2016 年1月に設立されたシェアリングエコノミー協会が情報発信や販促活動を本格化していくことで、各分野のシェアリングエコノミーサービスの認知度が向上し、更に利用も増加していくと予測できることから、前年度比26.3%増の360 億円になると見込んでいるという。

 また、日本政府観光局データによると年々訪日外国人客が増加し、2020年の東京オリンピックに向けて増加基調が見込まれるが、こうした訪日外国人客が、民泊、オンライン駐車場予約サービス、ライドシェア、オンラインマッチングサービスなどのサービスを利用していくと予測している。こうしたなか、シェアリングエコノミー国内市場規模全体の 2014年度から 2020年度の年平均成長率(CAGR)は17.1%となり、2020年度には600億円に達すると予測している。(編集担当:慶尾六郎)

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