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20日、世界のスーパーコンピュータの計算速度ランキング「TOP500」が発表された。TOP500は1993年に発足したプロジェクトで、スーパーコンピュータのリスト更新を年2回のペースで発表している。この度、初の1位に輝いたのは中国の「神威太湖之光(Sunway TaihuLight)」だ。中国が国産技術で独自に開発した新型機で、計算速度は日本の「京」の約10倍も速い。2位も中国で、3位と4位はアメリカ、日本の京は5位となった。
2013年から6度の1位を達成し、今回は2位に落ちた中国の「天河二号」の実効性能値は33.86PFLOPSで、神威太湖之光は93.01PFLOPS。神威太湖之光が約3倍も速いということになる。PFLOPSとは、1秒間に実行できる浮動小数点数演算の回数で、コンピュータの処理速度をあらわす単位の一つだ。
中でも注目を集めているのは、神威太湖之光に採用されている中央演算処理装置(CPU)が中国製であることだろう。中国は2000年以降にCPUの独自開発をスタートし、アメリカ留学組などの力も手伝って技術力に磨きをかけていた。というのも、スーパーコンピュータは国家の科学技術水準や企業の競争力のみならず、軍事力への影響も大きい。世界最速のスーパーコンピュータを開発は国の威力を強くアピールできる手段でもあるのだ。アメリカは18年にも神威太湖之光に並ぶ新型機を3台稼働する予定だが、中国はさらに10倍速いマシンを計画しているという。
一方、日本は東京と筑波大学が富士通<6702>と共同で、国内最速のスーパーコンピュータの開発に着手している。消費電力は京の4分の1、計算速度は2倍以上となる見通し。宇宙の成り立ちを探る理論計算などに威力を発揮するという。また、理研や文部科学省は京の後継機の開発を進め、20年の稼働を目指すとした。
東京工業大学の松岡聡教授は「幅広い分野での使い勝手の良さ」日本が進むべき道と話しているように、1位にこだわる必要はないのかもしれない。しかしながら、日本の存在感をアピールできるマシンの登場に期待が集まっているのも事実だろう。(編集担当:久保田雄城)
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