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マイクロソフトリサーチ、病原体を運ぶ特定種の蚊だけを捕獲する蚊取り器を開発
caret 曰く、 Microsoft Researchが6月21日、ジカ熱を引き起こすジカウイルスなど、病原体を媒介する特定種の蚊だけを捕獲する流線型の新型蚊取り器のプロトタイプを開発したと発表した(MicrosoftのThe Fire Hoseブログへの投稿、News Center、PC Watch、CNN.co.jp)。
感染病対策を行う「Project Premonition」の一環で、同社はエボラ熱が流行していた2015年よりこの計画に取り組んでいた。全米第4の都市、ヒューストンを抱えるアメリカ合衆国テキサス州ハリス郡と共同して展開しており、これまでに仕掛けた従来型の蚊取り器数百個に加えて、今回開発した新型の蚊取り器10個を新たに試験配備し、7月上旬ごろに運用を開始するという。
新型蚊取り器はバッテリ駆動で、2つのマイクロプロセッサが搭載されており、クラウドへのダウンロードとアップロードが可能となっている。蚊取り器は高さ30cm ほどの三脚の上に設置され、内部は64の小部屋に分かれており、それぞれの小部屋で蚊を捕獲することができる。
二酸化炭素を放出して蚊を引き寄せ、搭載している機械学習機能によって蚊取り器に入ってきた昆虫がターゲット種の蚊か、ターゲットではない蚊か、あるいは蚊ではない昆虫かを判断する。ターゲットと判断されるとバネ仕掛けのシャッターが閉まって蚊を捕獲するとともに、捕獲時の日時、気温、湿度、光度、風速などを記録してクラウドにアップロードする。研究者たちはこれらのデータを活用することで、感染症を媒介する蚊の発生時期や蚊媒介感染症がどのように広がるかを研究するために役立てるという。
蚊の種類の判別は、初期段階ではジョンズホプキンス大学に依頼する。いずれは蚊に赤外線を照射し、反射具合によって蚊の種類を識別する考えだ。マイクロソフトリサーチのラボ内ではこの手法により、種類を判別できることを実証済みだという。いずれはジカ熱などを媒介する蚊が入ると、ハリス郡の公衆衛生局に自動的に通知できるようになるという。
蚊取り器を展開する場所の選定にはドローンを活用する。ドローン内のカメラとプロセッサで地形を調べたり、水たまりの場所や植生や構造物などの分布を解析して、蚊が移動する距離や集まる場所を特定し最適な設置場所を見極める。このドローンを使った調査は定期的に実施され、蚊が増えるような地形の変化があれば衛生当局がその地点に蚊取り器を迅速に展開できるようにする。また、長期的にはドローン本体に蚊取り器を設置することで、歩いて数時間かかるような山中にも迅速に蚊取り器を展開することを目指すという。
ハリス郡の公衆衛生局関係者は「これで意思決定が迅速化できる」と新型蚊取り器に期待を寄せているという。Microsoft ResearchではProject Premonition を通して、最新技術により予期しない感染症が発生するリスクを減少させられるかを見極めたい意向だという。
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