関連記事
【犬丸正寛の相場展望】6月相場入りだが難しい局面、「どうする消費税」、「どうなるトランプの日本政策」
■中長期投資家は動き難い
来週は6月相場入り。3月期決算発表とG7が終わり、7月の参議院選挙に向けた内政重視の次の一手を見守る相場展開だろう。具体的な政策が出るまでは積極的な売買が手控えられ出来高の少ない状況が続きそうだ。
G7では、議長の安倍総理は現在の世界景気をリーマンショック前夜と似ていると表明、各国が財政出動など積極的な景気対策の必要性を強調した。しかし、足並みは必ずしも一致しなかった。当時、リーマンショックの震源地となったアメリカの景気は好調持続だし一時26ドル台まで下落していた原油相場は足元では50ドルていどまで回復するなどリーマンショックと類似しているということにはやや違和感があったようだ。結局、G7各国は独自で景気対策を行うことになった。果たして、日本はどのような景気対策を打ち出すのか。
日本政府は、日本の景気は緩やかだが回復に向かっているという立場だ。この点においてもリーマンショックの言葉を持ち込まれても違和感がある。景気が緩やかでも回復しているのなら予定通り来春の消費税10%は実施すべきだろう。ましてや、今回のG7で財政規律を重視するドイツ、イギリスに対し、財政赤字状態の日本の姿が浮き出たといえる印象であり、財政健全化のためにも消費税実施は必要だ。
財政が赤字状態では財政出動は多くは望めない。しかも、橋や道路を次々と作ろうにも既に社会資本は充実、財政出動しようにも対象がない。復興、子育て支援などが中心といったところだろう。しかも、円安に頼った景気対策にも釘を打たれている。このため、マーケットは、景気対策に過大な期待を持たないのがよさそうだ。期待するとすれば日銀の追加量的緩和だろうが、いつ具体化するか。
さらに、中長期的にはアメリカの次期大統領にタカ派のトランプ候補が有力となっていることから相場への影響が読み難い。米軍駐留費を全面負担したら日本の財政赤字はさらに急速に悪化が予想される。自前で軍隊を持つとしても負担は大きい。「どうなる日本」というところに来ているから中長期投資家に多くは望めないだろう。しかも、消費税有無を巡って野党の攻勢は勢いを増すだろうから、短期投資家にとっても手が出し難い相場となりそうだ。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)
【関連記事・情報】
・【株式評論家の視点】フランスベッドは中期経営計画で高齢化社会対応を一段と強化、足元の業績も好調、株価に上値余地(2016/03/31)
・株式投資情報を配信するキュレーションサイト(株式投資総合)が好評(2016/04/14)
・ヨコレイの西山敏彦社長に展望を聞く(2016/03/18)
・【編集長の視点】アカツキは連日のストップ高で最高値、IPO後のセカンダリーで独自ビジネスモデル・成長可能性を再評価(2016/03/31)
※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク