枕が変わると寝られないというのは本当だった

2016年5月23日 12:15

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記事提供元:エコノミックニュース

旅先などで枕が変わると寝つきが悪くなるのは、脳の左半球が睡眠中も活動を続けているからだとアメリカの研究チームが発表した

旅先などで枕が変わると寝つきが悪くなるのは、脳の左半球が睡眠中も活動を続けているからだとアメリカの研究チームが発表した[写真拡大]

 枕が変わると眠れない、という悩みを抱える人は数多く存在する。なぜ枕が変わると眠れなくなるのか。それを解明したのがアメリカブラウン大学の佐々木由香准教授らのチームだ。研究内容はアメリカ科学雑誌カレント・バイオロジーに掲載された。

 研究に協力してもらうため、チームは若く健康的な男女を集めた。彼らに二度、宿泊施設に泊まってもらい、脳の微小な磁場の変化を専用の装置で測定。右脳と左脳での活動の違いを比べた。なお、この宿泊施設に泊まるのは全員初めてであった。

 一度目の宿泊では、右脳と左脳の動きに違いが見られた。ノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りの際に、左脳が右脳よりも活発に活動していたという。活発に活動していた左脳は、外部からの状況の変化に反応を示す部位だ。左脳が活発に活動していたことによって寝られないといった症状を引き起こしているものと考えられる。研究では、睡眠中に異音を聞かせる実験も行われた。左脳と直接繋がる右耳から聞かせた時に目覚める回数が多かったという。

 さらに一週間後同じ実験を行うために同じ宿泊施設に泊まってもらったが、左脳と右脳で大きな違いは見られなかった。これは施設の環境に脳が慣れたということになる。そのため、通常通りの睡眠が出来たものとみられる。

 睡眠中に脳の左右一方が活動を続ける現象は、クジラやイルカ、渡り鳥などと同じだ。これらの動物の共通点は移動中にも眠るということである。そうすることで、クジラやイルカは溺れることを回避し、渡り鳥は墜落を回避しているものとされている。今回の研究で、人間もこれらの動物と同じ現象が起きていることがわかった。

 佐々木由佳教授は論文で、人間も慣れない環境では脳の半分が覚醒状態になり警戒態勢を敷いているとしている。しかし、脳は適応性が高いため新しい環境で寝る機会が多い人は必ずしもこれに当てはまらないと指摘。今後は寝つきの悪い人に対し、左脳の動きを抑えて慣れない環境でも眠ることが出来る方法を開発したいとコメントしている。(編集担当:久保田雄城)

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