NYの視点:多くの米FRB高官、依然少なくとも年2回の利上げを予想

2016年5月17日 07:20

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記事提供元:フィスコ


*07:20JST NYの視点:多くの米FRB高官、依然少なくとも年2回の利上げを予想

米連邦準備制度理事会(FRB)高官のほとんどは依然、少なくとも年2回の利上げが可能だと見ている。「1回がやっと」と見ている市場と見解は依然分かれたままだ。2016年のFOMC投票権を有しタカ派として知られるカンザスシティー連銀のジョージ総裁に加えて、やはり投票権を有し通常はハト派として知られるボストン連銀のローゼングレン総裁でさえ、「現在の経済の状況からすると金利は低すぎる」との見解。「市場は米国経済に関してネガティブ過ぎる」と言及、同時に、「過剰な低金利を過剰に長期にわたり維持することでリスクが生まれる」と逆に警告した。米国経済が予想通りに改善した場合、利上げをすべきだとの方針を再表明している。

2016年の投票権を有さないが米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も先週末の講演において、年2-3回の利上げが依然妥当だとの見解を示した。米国の労働市場は非常に良好で、最大雇用、または、それに近いとの見方。失業率は5%割れを予想しているほか、2016年の国内総生産(GDP)は2%成長、インフレは2%の目標に向けて上昇すると見ている。6月FOMCを始め、7月、9月会合での利上げは依然可能だと見ている。2016年の利上げが遅れた場合、その分来年2017年に多くの利上げを実施することになると警告。さらに、FRBは利上げの先送りを見込んでいる市場を驚かすことに「過剰に神経質になるべきではない」と指摘した。

やはり投票権は有さずタカ派として知られる米リッチモンド連銀のラッカー総裁は米ワシントンポスト紙とのインタビューで「経済が強まる中、FRBは金利に関し立ち遅れている可能性がある」と指摘した。また、6月の利上げも「根拠はかなり強い」との見方を示した。「賃金インフレの兆候が明らかに見られる」とし、4月雇用統計で予想を若干下回った非農業部門雇用者数を受けた市場の悲観的見解に驚きを示し、「詳細は強かった」と強調した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が公表予定の4月26-27日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、3月の声明やイエレンFRB議長が強調していた世界経済の悪化による見通しへの影響に焦点が集まる。4月FOMC声明では、労働市場の順調な改善を指摘し、「インフレ、世界経済、金融の展開を綿密に監視する」との文言を繰り返したものの、前回3月会合声明の中で警告した「世界経済、金融の展開が引き続きリスクを生む」との文言を削除した。FOMCメンバーは世界市場混乱による米国経済への影響が限定的、また、米国経済は逆風に回復力があると判断したためと見られているが、その背景を議事録で探ることになる。《NO》

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