三陽商会「三陽山長」2016秋冬 機能・デザインに広がり トータルブランドとしての訴求強める

2016年5月12日 11:20

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記事提供元:アパレルウェブ


2015年秋から衣料品や雑貨を含めたトータルブランドに

 三陽商会の紳士ブランド「三陽山長」が、トータルブランドに刷新後3季目となる2016秋冬コレクションを発表した。靴、アパレルともにデザインや素材、機能のバリエーションを広げ提案力を強めた。

 ブランドの主力モデル「友二郎」をはじめとするスタンダードライン(本体6万円代~)は、履き心地やシルエットの美しさを追求するため、型崩れしにくく長時間の歩行に適した従来のグッドイヤーウェルテッド製法だけでなく、様々な製法を取り入れた。ストレートチップ型の「友二郎」では、柔らかく屈曲性に優れたボロネーゼ製法を用いた「友二郎ボロネーゼ」や、ヴィブラムソールを採用した「友二郎ラバー」を製作。脱ぎ履きしやすいよう履き口部分にゴムを織り込んだサイドエラスティックの「友三郎」も新作として加えた。2015春夏から発表しているプレミアムライン「極み」では、サイドバックルが特徴のモンクストラップ型「極み 源四郎」(17万円)を販売する。土踏まず部分のアーチを絞り込み、フィット感や美しいシルエットを生み出すベヴェルドウェストソールが特徴だ。

 また従来はネイビーなどのベーシックカラーが中心だったが、2016秋冬は、“秋飾(しゅうしょく)の秋”をテーマに、ブラウンやベージュなどの暖色系カラーを打ち出した。日本の伝統色でもある揚桃色(やまももいろ)や璃寛茶(りかんちゃ)など暖かみのある色を揃え、華やかに着飾って出かけるような休日の装いにも対応。靴でもコーヒーやブラウンなどの新色を増やした。ウエアは、カシミヤやキャメル、アルパカなど獣毛原料を使い、フランネルやモッサ仕上げによる柔らかな風合いを持つ服地を多く提案。カシミヤネプツイードを使ったクラシカルなバルマカーンコート(22万円)やアルスターコート(27万円)もラインナップした。

■上期は前期比10%増で推移


 「三陽山長」は2001年、素材選びへのこだわりや、高品質なものづくりなどを強みとした日本製の高級紳士靴ブランドとしてスタートした。2015年秋にはウエアや雑貨を含めたトータルブランドに刷新し、“靴から始まるスタイリング”を提案してきた。2015年10月2日に東京・銀座ベルビア館に入る旗艦店をリニューアル。2月17日に三越日本橋店、4月21日に松坂屋名古屋店をオープンし、トータルブランドとしての店舗は3店舗に拡大した。「日本製へのこだわりがフックとなり、順調に売り上げを伸ばしている」と同社。トータル化によりブランドの訴求力が強まったこともあり、旗艦店ではリニューアル後3カ月で、靴の売り上げが35%アップした。

 上期(2016年1月~)の販売は順調で、「三陽山長」全体での売り上げは前期比10%増、靴(プロパー)単体の売り上げも同水準で推移している。今後の課題はトータルブランドとしての認知度アップ。拡大するインバウンド需要も取りこみつつ、ウエアの売り上げ構成比を現在の10%から30%へと引き上げる計画で、全体売り上げの底上げを図る。


プレミアムラインの「極み」

フィット感や美しいシルエットを生み出すベヴェルドウェストソール

ヴィブラムソールを採用した「友二郎ラバー」。

暖色系アイテムを用いた華やかなスタイリング。歌舞伎や絵画展、料亭で贅沢に過ごす休日をイメージした。

カシミヤを使ったツイードは珍しい。
コードバン素材の革巻きボタンを採用した贅沢な仕様(右)。

ドレスシャツ(2万5,000円~)。白蝶貝のボタンは留め外しがしやすいよう、底面に丸みを持たせている。

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「三陽山長」公式サイト

(編集部)

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