カナダ警察、2010年からBlackBerryのメッセージを復号するマスターキーを持っていた

2016年4月17日 18:48

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記事提供元:スラド

カナダの王立カナダ騎馬警察(RCMP)が2010年からBlackBerry Messengerで送受信されるメッセージを復号可能な「マスターキー」を持っていたことが、裁判記録から明らかになったそうだ(Motherboardの記事VICE Newsの記事The Vergeの記事The Registerの記事)。

この裁判は犯罪組織同士の抗争による殺人事件をRCMPが捜査していた「Project Clemenza」に関するもの。捜査は2010年から2012年まで行われ、RCMPではBlackBerryで送受信される暗号化されたメッセージ100万件以上を傍受したという。これらのメッセージや他の証拠から6人の男が殺人罪で有罪判決を受けたが、RCMPが傍受したメッセージを復号できていたという事実も判明した。

BlackBerry Enterprise Serverを使用していないアカウントの場合、BlackBerryでは端末が保持している共通の暗号鍵を用いてメッセージを暗号化/復号する。RCMPは何らかの方法で共通の暗号鍵を入手しており、プロバイダーの協力を得てメッセージを傍受し、復号を行っていたとのこと。RCMPは共通の暗号鍵を端末から抽出した可能性もあるが、RIM(現在のBlackBerry)に捜査への協力を求めていたことが判明しており、BlackBerryが提供したとの見方が強いようだ。

この件以降、BlackBerryが共通の暗号鍵を変更した可能性は低い。変更されていても、RCMPは新しい暗号鍵を入手可能だ。そのため、BlackBerry Enterprise Serverを使用していないアカウントのメッセージについては、RCMPが現在でも復号できる可能性が高いとみられている。 スラドのコメントを読む | セキュリティセクション | カナダ | 犯罪 | セキュリティ | 法廷 | Blackberry | 暗号

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