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待ったなしの少子化問題。今、日本経済に必要とされる子育て支援制度
国立社会保障・人口問題研究所が発表した「将来推計人口」によると、我が国の総人口は2060年には8674万人にまで減少し、65歳以上の人口割合は約40%になる見通しだ[写真拡大]
日本の将来と社会経済の根幹を揺るがしかねない大きな課題として「少子化」問題がある。国立社会保障・人口問題研究所が発表した「将来推計人口」によると、我が国の総人口は2060年には8674万人にまで減少し、65歳以上の人口割合は約40%になる見通しだ。
少子化による人口減少がこのまま進むと、就業者数の減少による労働力の減少や消費の減少から経済への大きな打撃が心配される。また、人口減少は地方社会ほど深刻で、地方の地域経済社会の急速な縮小と都市機能の低下が懸念されている。また、国、地方ともに社会保障の担い手が減少してしまうことで、社会保障の維持が難しくなってしまう。
現在の日本の人口は1億人を超えているため、問題意識はあっても、実際には個人レベルでは現実感や危機感に乏しいのが現状だと思われるが、出生率回復から人口減少が止まるまでに数十年を要するため、人口減少は、待ったなしの国民的課題なのだ。
これを食い止めるため、政府は「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」を閣議決定して人口減少克服に取組んでおり、2060年に総人口1億人程度を確保し、2090年頃に9千万人程度で定常状態を見込む方向性を目指している。そこで参考となるのが、出生率回復に成功したスウェーデンやフランスの事例だ。日本のみならず世界の先進諸国は等しく少子化の悩みを抱えているが、この二国は家族政策などによって見事に少子化を食い止め、回復させた事例として知られている。
例えば、スウェーデンでは1999年に1.5で最低となり、2010年には1.98と回復しているが、そのプラス要因となったのが、父親専用の育児休暇と育児休暇の延長だ。スウェーデンでは、父親の育児休暇消化率が母親と比較して10分の1と低かったが、父親専用の育児休暇が法的に作られたことで、父親が積極的に子育てに参加でき、母親への負担を軽減する環境を作り出している。これにより、育児休業取得率は女性で8割強、男性では8割弱と、男女とも非常に高くなった。ちなみに、日本の男性の取得率は3%前後といわれており、その差が大きいことが分かる。また、育児給付金も当初の390日間は就労時の賃金の80%給付を保証するなど高い育児給付金も育児休暇を取り易くしていると思われる。
実際、厚生労働省が、15歳から79歳の男女3000名を対象に行った人口減少に関する意識調査によると、子育てに対して46.2%の人が「子育てに出費がかさむ」と問題意識を抱えており、さらに40.8%の人が「将来予想される子どもにかかる経済的負担」を心配していることが分かった。
この問題を解決するためには、国の取り組みだけでなく、企業の協力も不可欠だ。例えば、大和ハウス<1925>などは「次世代育成一時金制度」を設置しており、社員にこどもが産まれた場合、一子につき100万円を支給している。また、出産した配偶者をもつ男性社員が、出生日から連続5営業日の休暇を取得できる「子育て休暇(ハローパパ)制度」や、福利厚生代行会社との提携により各種サービスが受けられる「育児支援サービス」を導入し、保育施設の利用料を割引するなど、育児を経済的に支援する取り組みを行っている。
アキュラホームでも社員の出産、育児を支援する「しあわせ一時金制度(第1子出産30万・第2子出産50万・第3子出産以降は100万円をそれぞれ支給)」のほか、子供が小学校に就学する月まで、時給制・短時間勤務のパートナー社員に転換できる「育児コース転換制度」や、正社員でありながら勤務時間を6~7時間で選択することができる「育児短時間勤務制度」を設け、会社ぐるみで子育て支援を行っている。
企業単位で少子化と向き合うことは、これからの日本にとって益々重要になってくるだろう。また、少子化問題への取り組みは、その企業自身の将来にもつながることだ。福利厚生としてどういう施策をとっているのかを見るだけでも、その企業の健全さを伺うことができる。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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