ラジオでもテレビでもない?FM東京が始めた「第3の放送」とは

2016年3月21日 14:09

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記事提供元:エコノミックニュース

「i-dio」という名称は、「放送メディアが持つ普遍的なアイデンティティー」「通信メディアが持つ、革新的なアイディア」という2つの要素を持ったメディアであるということにちなんで付けられたそうだ。

「i-dio」という名称は、「放送メディアが持つ普遍的なアイデンティティー」「通信メディアが持つ、革新的なアイディア」という2つの要素を持ったメディアであるということにちなんで付けられたそうだ。[写真拡大]

 エフエム東京がはじめた新たな放送プラットフォーム「i-dio(アイディオ)」。3月1日からプレ放送が東京・大阪・福岡で行われている。既存メディアの枠にとらわれない、テレビでもなくラジオでもない「第3の放送」。音声、映像、データを組み合わせた番組を地上波に乗せて配信するものだが、その利用シーンや普及の見通しはどうなっているのだろうか。

 i-dioは2011年7月に終了したアナログテレビ放送の周波数帯(V-LOW、帯域は18MHz)を利用する放送サービスだ。スマートフォンやカーナビなどの移動体端末を受信端末としたマルチメディア放送となる。テレビは「映像」、ラジオは「音声」を送ることが義務づけられているが、i-dioはデジタルデータであれば放送法の範囲内で何でも送信することが可能だ。

 TOKYO SMARTCASTが提供するチャンネル「TS ONE」では、DJ陣が独自のプレイリストを発信する番組を展開中。音声放送と通信の連携により、楽曲の購入や掲示板でのコミュニケーションも可能だ。アマネク・テレマティクスデザインの「Amanekチャンネル」では、ドライバー専門チャンネルとして運転中に聴くことを前提にした選曲で番組を構成。ゲリラ豪雨などの緊急の情報や付近のガソリンスタンドで利用できるクーポンなどの情報が配信される。

 i-dioを視聴するには、i-dio Wi-Fiチューナー(現在はモニター配布のみ)か、i-dioチューナー内蔵のスマートフォン「i-dio Phone」が必要だ。Wi-Fiチューナーの場合は受信端末に専用アプリをインストールして、チューナーと端末をWi-Fiで接続する必要がある。少し導入のハードルが高そうだが、運営側は19年7月までには全国の世帯カバー率を78%強まで引き上げるとしている。ほかにも車載用のi-dioチューナー「TunerBox」の発売も予定されている。

 もうひとつi-dioを視聴する方法として考えられるのが、自治体向けに配布されている防災ラジオ(「VL-1」)だ。i-dioは防災情報配信システム「V-Alert」に対応、緊急時には端末の位置情報に合わせた緊急防災情報を通常の番組に割り込む形で配信できる。電源が入っていない端末は電波で強制的に起動させることが可能だ。エフエム東京などの出資による企業、東京マルチメディア放送の籐勝之社長は「全国の自治体の3分の1程度が採用してくれるのではないかと想定している」と災害時のインフラとしての機能にも期待を寄せている。(編集担当:久保田雄城)

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