遺伝子検査認定制度の認定企業の発表遅れが意味するものは

2016年1月18日 09:18

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記事提供元:エコノミックニュース

昨今の健康志向ブームや、ネット通販を利用する感覚で利用できるという手やすさが追い風となり、今後、個人向けの遺伝子検査ビジネスは、ますます発展する可能性は十分にあるといえる状況だ。

昨今の健康志向ブームや、ネット通販を利用する感覚で利用できるという手やすさが追い風となり、今後、個人向けの遺伝子検査ビジネスは、ますます発展する可能性は十分にあるといえる状況だ。[写真拡大]

 「遺伝子検査」という言葉で、米国の女優アンジェリーナジョリーナのことを連想された方も少なくないだろう。彼女が、遺伝子検査の結果によって、乳がんを発症する前に、乳房切除手術を受けた、というニュースは、当時センセーショナルな出来事として、世間の人々の注目を集めた。

 もっとも彼女の場合は、医療目的の検査であって、最近、にわかに注目を集めている個人を対象とした「遺伝子検査」とは、主旨が異なっている。両者は、全く別物であると考えるのが正しい見解のようだ。しかし、このニュースに着目して、新たに遺伝子検査ビジネスを起ち上げた企業が後を絶たないのが現状である。

 昨今の健康志向ブームや、ネット通販を利用する感覚で利用できるという手やすさが追い風となり、今後、個人向けの遺伝子検査ビジネスは、ますます発展する可能性は十分にあるといえる状況だ。同ビジネスに参入する企業が増えれば増えるほど、当然、生き残りをかけて熾烈なバトルが勃発することになるだろう。

 実際に、大手IT企業が同ビジネスに参入する一方で、病気にかかるリスクだけでなく、何の才能があるかまでもわかると宣伝している信ぴょう性に欠ける眉唾ものの企業も出現している。このように遺伝子検査ビジネスは、ともすれば玉石混淆状態に陥りやすい傾向が否めない。そのような傾向も踏まえ、遺伝子検査認定制度は、同ビジネスの信頼性を高めるために、NPO法人「個人遺伝情報取扱協議会」によって、昨年創設された制度である。

 この3月に、一定の基準をクリアした企業が認定企業として公表されるという運びとなっていたが、その時期が大幅に遅れる見通しとなった。当初、協議会が予想していたよりも、はるかに多数の企業が認定を申し込んできたために、審査に時間がかかるということが主な理由で延期が決まった。

 審査は、医療や法律の専門関係者で構成される談三者機関によって公正かつ厳密に行われる。認定企業に選ばれれば、いわばお墨付きを与えられたように、その後のビジネスが有利に展開するのは必至である。消費者側も、認定企業か否かについては、サービスを利用する際の大きな目安となり得る。

 認定企業は、夏前には発表されるという見通しだが、どのような企業が認定されるのか、発表に対する世間の関心度も、ますます高まっている。(編集担当:久保田雄城)

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